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顔を出したのはラビ。入るよう促される。書類のばらまかれた足元に気をつけながら、机に肘をついてニコニコしている男――コムイの前まで進む。

パタンと扉が閉められた。ラビは外には出ず、私の横へと移動する。


「いらっしゃい、黎音くん。ボクはこの教団の室長。コムイ・リーです」

「はじめまして」

「早速で悪いんだけど、イノセンス見せてくれる?」


頷き、耳の飾りを外す。巨大化した鎌を見て、コムイはふむ、と呟いた。


「鎌のイノセンスか。装備型だねー。すでに武器化は済んでるし、ボクらが改良しなくてもキミに合っているみたいだね」


残念、と言いたげな声に、思わず怪訝な表情を浮かべる。それを誤解したのだろう。イノセンスについて説明し出した。


「イノセンスには、ふたつのタイプがあるんだ。
 ひとつは寄生型といって、肉体そのものに細胞レベルで結合して武器化している。身体の一部がイノセンスだから、武器を損傷したときのダメージは大きいけど、レアなタイプなんだ。
 もうひとつはキミやラビのような装備型。原石そのままだと使えないから、イノセンスを能力に見合った形に武器化する。ただ、寄生型と違って身体的な繋がりがない。その分制御が難しいんだ。だから武器化する時にボクらが、適合者が扱いやすいように改良する。
 キミのイノセンスはもう既に武器化している。発動後に大幅な体力の消耗がないところをみると、改良しなくても大丈夫そうだね」

「寄生型と装備型、ですか……。武器化と改良するほどのモノを体内に持つ寄生型って、大変そうですね」


読んでいて疑問に思っていたことを口にしてみる。普通の武器が効かないアクマをその身ひとつで破壊できるほどの力、ただで済むとは思えない。その証拠にコムイの表情が凍りつく。予想は当たり、か。


「……鋭いね。そう、キミの予想している通りだと思うよ。だからこそ、彼らはレアなんだ」


苦笑しようとして、しくじったような。そんな悲痛な顔だ。


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