04
「そうさ! お嬢さんの名前は? ちなみに、オレはラビね」
「黎音です」
「ヨロシク、黎音ちゃん」
「よろしくお願いします。呼び捨てで構いませんよ、ラビさん」
「ならオレもラビで!」
「え、でも……」
「なぁ、何歳?」
「14です」
「オレ17! な、歳近いんだしいいじゃんさ〜。敬語も無しで」
「わかった、改めてヨロシク、ラビ」
親しげな会話ではあるが、どちらも仮面のように完璧な笑みなものだから薄ら寒い。もっとも、同類でなければ分からないような些細なことだ。
それにしても、ラビが17ということは、ここは漫画の1年前か。それならば、ラビの、このガラス玉のような目は納得出来る。人の事は言えないが。知っているとはいえ、初対面の相手に警戒するなという方がおかしいだろう。
「さて、そんじゃ、行きますか」
槌の先端の十字架を地面に突き刺しながら、ラビが言う。これはあれか、“伸”フラグか。あからさまな死亡フラグなんですけど。
「これ掴んで」
ニコニコと満面の笑みを浮かべて言われたら、従うしかないではないか。何せ相手はラビだし。警戒してはいるものの、好きなキャラからのお誘いに、どうして断れるだろうか。絶叫系は苦手なのだが。仕方ない。意を決し、差し出された柄を掴む。
「じゃ、教団まで――“伸”!」
「ぅええ!! ちょ、きゃあああぁぁあ――ッッ!!」
それはもう異常なまでの風圧と重力。先程とは比べ物にならないくらい。ゴメン雷閃。シメるだなんて言って。真っ先にシメるべきはコイツだ。
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