02
なんて、現実逃避を始めていると、ラビに抱き着かれた。


「っぇうあッ!?」

「ストライク!! アジア系なんさね、東洋の黒い髪と目って綺麗さ〜! なぁお嬢さん、名前は?」


こちらの様子などお構いなしのマシンガントーク。なんというか、どうすればいいのかわからない。誰か助けて。
なんて思っていると、ラビの口がピタリと止まった。


「え、何?」


突如生気のない目をした男が現れた。それを見た瞬間、先程までの空気はどこへやら、真剣な眼差しで得物を構える。


「ちょーっと下がっててさー!」


男が唸りだしたかと思うと、その姿が変形していく。それを見て頭に浮かんだのは、一つの単語。
――アクマ。
千年伯爵が生み出した、彼の為の操り人形。人間が膨れ上がる瞬間を見せられ、胸中に浮かぶのは不快感。皮を引き裂き、無数の砲台が突き出てくる様は、もう目も当てられない。


「大槌小槌、満満“満”!!」


ラビのイノセンスである槌が巨大化する。質量保存の法則を軽く凌駕(りょうが)したそれ。間近で見ると凄い大きさだ。軽々とよく振り回せるなと、こんな状況にも関わらず思案する。


「ッ! あぶねェ!」

「へ?」


ラビの声に我に返った。アクマが放った弾丸が、こちらに向かってきていた。


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