小説 | ナノ
ゲスな話しをする子と性癖がきもい佐疫

開いた本の中ではあられもない姿の女の子がいけないところにいけないモノを突っ込まれてそれはもういけない感じの声をあげているいけないシーンが描かれていた。いけないものだらけで構成されているその本は、いわゆるエロ本といういけないやつだった。こんなにいけないって連呼してると語弊があるようだけど、次のページを開くとその本の中の男性は無事にイけてたらしい。ちょっとうまいこと言ったなわたし、と思った。そんなことを考えていると後ろから、「うわあああ」という声と、どたどたこちらに走ってくる足音が聞こえた。コンマ数秒でエロ本はわたしの視界から消え、その代わりに目の前には息を荒らげた佐疫がいた。羽織ったカーディガンが肩からずり落ちている。

「無理やり系が好きだったんだ」
「違う!これは平腹が…!」
「まさか、澄ました顔して楽譜とか小説と一緒に並んでるとは思わなかった。カバー掛けてあると分からないもんだね」
「違うから!平腹が持ってきてそのまま忘れて行っただけだから!捨てるに捨てられなかっただけだから!」
「ぶっかけるシーンに折り目が、」
「わああああ」


付いてたよ、と言い終わる前に強い力で口を塞がれた。いつも澄ました顔をしている佐疫の部屋であんなものを見つけるなんて、なんだか背徳感があって面白い。しばらく大人しくしていると、塞がれていた手が離れた。焦りからか青白い顔が若干赤くなっている。「あれ、オカズにしてたの?」と言うと、黙って下を向いてしまった。面白くなって、「どこが一番興奮するの?わたしでよかったら見せようか」と言ってみると、予想と反して「本当!?」と勢い良く顔を上げた。えー。佐疫くん、あなたがそれをやったらそれはそれは世の中の女の子ががっかりするよ。佐疫の顔はいつもの知的なそれではなく、男の欲を全面的に押し出して水色の眼光は涼しげなのにギラギラと光って見えた。面白いのでもう少し続けてみることにする。

「いいよ、どこにしようか。おっぱい?」
「お腹が見たい」
「お腹?」
「うん」

聞き間違いではないらしい。半信半疑でTシャツをまくり腹部を晒してみると、「うわあ」という感嘆の声が漏れた。

「これ、触ってもいい?」
「どうぞ」

やわやわとした手つきでお腹を撫でる佐疫の目は輝いていた。ちょっと引きそうになったけど、面白そうなのでぐっと堪えて、「…お腹が好きなの?」と聞くと、「そう!俺、女の子のお腹って、白くて柔らかくて凄い好き」と言ってぺたぺたすりすりとわたしのお腹を触りまくっている。ちょっときもい。思った事が、口に出ていたらしく、「なまえだって俺の部屋にあったエロ本読み込んでたじゃん」と言われた。読み込んでた訳じゃないんだけど。まあ読んではいたけど。

「ねえ、もういい?」
「…まだもうちょっと」
「佐疫、それ他の奴に言わない方がいいよ。ドン引きされるよ。わたしもちょっと引いた」
「でも、触らせてくれてるじゃん」
「…まあね」
「これからもたまに触らせてくれない?」
「…えー」
「納期が詰まってる報告書手伝ってあげる」
「いくらでも触っていいよ」
「交渉成立だね」



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リクのゲスな佐疫のつもりだったんだけど下ネタでただの気持ち悪い佐疫になった


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