小説 | ナノ
ツンギレ気味谷裂くんとSっ気女の子


「谷裂」

いきなり部屋に入って来た奴に目線を向けると、にやにやしながらこちらを見ている。ノックもしないとは、礼儀のなっていない奴だ。

「出て行け」
「まあ、そんな事言わないでよ」

再び目線を報告書に戻すと、なまえが近付いて来るのが分かった。本当に無遠慮な女だ。何かと絡んで来るこいつは本当にうざったい。

「いいもの買ったんだ」
「あぁ?」

「出て行け」と言ったにも関わらず全く人の話を聞いていない。苛立って目線を向けると、服を上にまくり上げて「じゃーん」と言っているそいつがいた。下着のみの上半身が目に入り、思わず息が止まる。

「貴様、何をしている」
「新しい下着買ったんだ。可愛いでしょ」

この女には恥じらいというものがないのか。ニヤニヤしながら「どう?どう?」と執拗に聞いてくる。怒鳴りかけたが、なんとか留まり目をそらす。するとなまえは不満げにこちらへ近付き、「ねぇー、聞いてんじゃん」と俺の背中に手を回して来た。柔らかいものが背中に当たる。先ほど飲み込んだ怒りが再び湧いてきた。

「貴様、ふざけているのか」
「ふざけてないよ。感想聞きに来たの」
「別の奴の所へ行け。邪魔だ」
「だってー、谷裂が一番反応良いんだもん」

勢い良く振り返り押しのけると、なまえはそのまま俺の腕を掴んで来やがった。そのまま勢いで一緒に床に倒れ込む。眼下には、Tシャツがまくれ上がったそいつが居た。白い胸元が目に入り思わず目を逸らすと、視界の端でにやつくなまえが見えた。

「やだ、谷裂のエッチ」
「……死ね。貴様には女としての恥じらいがないクズだ」
「だって、こんな姿谷裂にしか見せないもん」

そう言ってまたニヤニヤ笑う。苛つく。こいつが来るといつも何かしらペースが乱される。見ないようにして服を正し、「二度と来るな!」と言って部屋の外へ押し出すと、「また来るね」と言って手をヒラヒラ振りやがった。思いっきり扉を閉めると、バン!と勢いの良い音がした。扉の向こうから「夜は静かにねー」という笑ったような声が聞こえたので、扉を蹴りつける。椅子に戻って報告書に向き直すと、心拍数が上がっている自分に気が付いた。くそっ。


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谷裂くんかわうい。ドSって迷走した気がする…








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