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恋に落ちる音がした


グリーンさんとはじめて出会ったのは4年前、まだわたしがポケモンを持っていなかった頃。
彼は、幼馴染であるヒビキくんとコトネちゃんの先輩で、トキワシティのジムリーダーだとか。
ポケモンバトルに類稀なる才能を持つ幼馴染たちとは違い、バトルはおろか自分のポケモンすら持っていなかったわたしに、そんな奴がいるのかと逆に興味を持たれたらしい。
そして、気になったグリーンさんがわたしにメールしてきたのがきっかけ。


メールしはじめた頃は、やたら馴れ馴れしくてなんだコイツ、とか思ってた。
でもメールを続けるうちに仲良くなっていった。
1日中、それこそ仕事中でも合間を縫ってずっとメールしてた。
2週間くらい経ったある日、グリーンさんが電話で話してみたいって言いだして、正直ちょっとどうしようかと迷ったけど(いや、だってほらヒビキ君やコトネちゃんの先輩だし)(わたしポケモンの話題になったら黙り込む自信あるし)だけどもうその頃には充分グリーンさんのこと信頼できる人だと思ってたのと、やっぱりわたし自身も電話してみたいという思いがあったからドキドキしながら電話した。
そしたら思っていた以上にいい人で(しかもめっちゃいい声!)それですっかり意気投合したわたしたちは気が付いたら5時間くらい話してた。
全然話しが尽きなくて、次から次に話したいことが出てきた、電話を切ったきっかけは電池切れ。
たぶんこんなに息の合う男の子に出会ったのは生れてはじめてだったと思う。


それからも毎日メールして、電話して、たくさんのこと話して、ますます仲良くなった。
グリーンさんにこと、純粋に人として大好きになった。
そしたら今度は、会ってみたいなって思うようになっていった。


そして11月21日。
さすがに2人で会うのはちょっと、と思ってヒビキ君とコトネちゃんを誘って計4人で遊んだ。
ビリヤードして、カラオケして、わーわー騒いで。
めちゃめちゃ楽しかった。
7時くらいだったかな、ヒビキ君にウツギ博士から大至急手伝って欲しい事があるってメールが来て、じゃあわたしたちも、と解散することになったの。
もう終わりかあ、ってなんだかすごく悲しくなって。
だってもう2度とグリーンさんに会うことないんだろうな、って思ってたから。
正直、さみしかった。
コトネちゃんもヒビキ君の手伝いをすると2人で帰って、女の子が夜に1人じゃ危ないからとグリーンさんがわたしを送ってくれることになった。






帰り道の途中にある公園によって、2人でベンチに座って並んで話しをした。
今日は楽しかったとか、ヒビキ君のあのギャグは面白かったとか、そういう他愛もない話し。
20分くらいそういう話しをして、ふと会話が途切れた。
あ、なんか話題探さなきゃ、って思ってたらグリーンさんの手がわたしの手の上にそえられる。
驚いてグリーンさんの方を見たら、グリーンさんもわたしの方を見つめてて。

わたし、男の子を手をつないでドキドキしたことなんてなかったのに、その時は聞こえちゃうんじゃないかってくらいに心臓が激しく脈を打っていた。
目が離せなくて、体も動かなくて。

あ、ヤバい。
茶化さなきゃ、この人はヒビキ君たちの先輩で、わたしは彼らの幼馴染みで…!
そんなことが頭の中でぐるぐると回っていたけれど、やっぱり言葉は出てこなかった。



そしたら、急にそえられてた手が、ギュと強く握られて、

グリーンさんの整った顔がゆっくりと近づいてくる。
キレイな目だなあ、前髪サラサラだなあ、とかその時はなぜかのんきにそんなことを考えていた。

開いていた方の手で顎を固定される。



「…ナナシ、目 瞑って」



脳に直に響くような声に支配され、なんだかもう他のこととかどうでもよくなってしまったわたしは、言われるままに目を閉じた。



そして……





に落ちる音がした。





それが、なれそめ






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