みじかいの | ナノ

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ハニー!


「ただいまー」
「あ、おかえりなさい!」

俺の声に反応して、パタパタと玄関までかけてくるナナシ。
よしよし、と頭をなでると嬉しそうに にこりと笑った。
なんだか犬みたいだ。尻尾がついていたら、きっと忙しく左右に動いていることだろう。

「もうすぐごはんできるけど、先にお風呂入る?」
「いや、飯できるの待つよ。今日、何?」
「チキン南蛮だよ。あとはお肉揚げて、お皿に盛るだけ」
「了解。俺ナナシの作るチキン南蛮大好きだからちょー嬉しい」
「ふふふ。昨日のカレーも一昨日のハンバーグも同じようなこと言ってたよ」
「仕方ねえだろ。お前の料理うまいから、何でも好きなんだよ」
「もー、グリーンったら」

そんなことを話しながら、リビングへと向かう。
結婚して1週間。
まだ慣れないエプロンを着けた後姿にドキっとした。

「…グリーン、どうしたの?」

足を止めた俺を不思議に思ったのか、首を傾げてコチラを見るナナシ。かわいい、めちゃくちゃかわいい。

「ナナシ、おいで」
「なあに?」

ててて、と俺の方へ戻ってきたナナシの腕を掴み、俺の方へと引き寄せる。
そしてそのまま手で顎を固定すると、ナナシの唇に自分のそれを重ねた。ナナシは少し驚いたように体をビクリと強張らせたが、でもすぐに俺に身を委ねて応えてくれた。
ゆっくりと唇を離すと、少し頬を赤く染めるナナシと目が合う。

「おかえりのちゅー、忘れてただろバカナナシ」

ニヤリと笑ってそういうと、ナナシはさらに頬を赤くして、俺の服のはじをギュッと掴んできた。
そして潤んだ瞳で俺の方を見上げてくる。俗に言う、上目づかい。あーヤバい、かわいすぎる。俺の理性飛ばす気かコイツ。

「…グリーン、少しかがんで?」

何だと思いながらもその状態からお願いしてくるナナシの言葉に、素直にかがんだ。
瞬間、頬に当たる柔らかい感触と、玄関に響くリップ音。

「お、おかえりなさい。グリーンっ///」



ハニー!



今夜、寝かす気は無くなりました。


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