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ーひとりかくれんぼー

用意するもの
・手足のあるぬいぐるみ
・爪(自分の)
・生米
・縫い針
・赤い糸
・包丁
・塩水

下準備
1.ぬいぐるみの腹を切って、中に生米と自分の爪を詰める
2.赤い糸で腹を縫い、あまった糸をぬいぐるみの体に巻きつける
3.コップ1杯分の水を、予め決めた隠れ場所に用意する
4.浴槽に水を貼っておく

進行方法
1.ぬいぐるみに名前をつける(自分の名前以外ならなんでも可能)
2.3時になったら「最初の鬼は△△(自分の名前)だから」とぬいぐるみに向かって3回いう
3.風呂場に行き、ぬいぐるみを浴槽に入れる
4.部屋に戻り、家中の明かりを消して、テレビをつける
5.目をつぶり10数えたら、用意した刃物を持って風呂場に行く
6.ぬいぐるみのとこへ来たら、『〇〇(ぬいぐるみの名前)見つけた』と言ってぬいぐるみを刺す
7.『次は〇〇(ぬいぐるみ)が鬼』と言いながら置く
8.置いたらすぐに逃げて隠れる

終了方法
1.塩水を半分口にふくみ、隠れてる場所から出て、ぬいぐるみを探す(途中で塩水吐かないよう注意)
2.ぬいぐるみを見つけたら、残りの塩水をぬいぐるみにかけて、口の中の塩水も吹き掛ける
3.『私の勝ち』と3回言う
4.ぬいぐるみは必ず捨てること(最終的に燃えるかたちで)

注意点
・必ず3時間以内に終了させなければならない
・絶対に家の外に出てはいけない
・同居人がいる家で行ってはいけない
・隠れている間は静かにしなければならない
・電気は消さなければならない
・ポケモンを連れていてはならない


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「へー、結構細かく決められてんだな」
「うん。これを実行した人たちは、結構な確率で黒いモヤだったり、人によってははっきりと子供とか人を見てるんだって!」
「コレ、手順を間違えるとどうなるの」
「えっと…、ほとんどの場合は何も起こらないだけみたい。でも、爪の代わりに血を入れたりして取りつかれた人もいるみたいだから、一概に何もないとはいえないみたいだけど」
「要するに、悪い方に実験しなけりゃ、手順間違えても何も起こらないだけってことか」

この手の降霊術にしては、手順やセリフ、禁止事項が明確にされていて珍しい。
ぱっと見だと、長時間ひとりで狭いところにとどまり続けなきゃならないことに対する過度のストレスと、恐怖による精神異常と混乱を引き起こす方法に見えるけど。

「ぬいぐるみの綿を全部抜くっての、なかなか手間がかかるよな。人間の形したやつじゃねえとダメなのか?」
「ううん、手足があるならピッピにんぎょうとかでもいいみたい」
「でも、ぬいぐるみとはいえ、ちょっと可哀相だよね」
「なんかその行為が祟られそう」
「レッド、縁起でもねえこと言うなよな!」
喚き出すグリーンを無視して、リーフが出してくれたページを流し見る。
そこには、さまざまな年齢・性別の人が行った「ひとりかくれんぼ」の実験の様子や結果が記されていた。

「…いろんな実験をしてる」
「そうなの。同居人がいる家でしてみたり、外に出てみたり、人形を燃やさないでいたり。そういうことをした人がいるから、禁止事項や作業の手順が明確になっていっているみたい」
「へー。ならさ、せっかくだし俺たちも何か特別なことしてみようぜ?」
「でも、禁止事項とか手順とは違うこととかすると、みんな何かしらろくな事になってないよ?」
「普段通りにしたって面白くねえだろ!せっかくだし、なんでこんな降霊術があるのか、俺達が突き止めてやろうぜ」
「例えばどんな実験をするの?」
「んー、ポケモンを連れてやってみたりとか?」
「それはもうしてる人がいるよ。ポケモンがいる場所で行うと、何も起こらないみたい」
「へー」
「他にも、日中にしてたり、隠れなかったり、騒いでいたり、手足の無いぬいぐるみ使ってたり、あとはぬいぐるみに自分と同じ名前をつけた例は何も起こってないよ」
「ふぅん。じゃあ他の禁止事項を犯した奴はどーなったんだ?」
「悪い方に進んでる。人形を燃やさずに捨てた人はちゃんと燃やすまで体調が悪化したみたいだし、塩水を持ってなかった人にはたくさんの霊が寄ってきて1匹しか祓えなくて大変だったみたいだし。他にも、3時間を超えて行った人も体調を悪化させて不運なことが続いたりしてるみたいだよ。お母さんと二人暮らしだった人なんて、かくれんぼを直接してないお母さんが体調を壊してしまったって」
「禁止事項にも2種類あるってことだな」
「同時に2人が同じ家で行った例はないの?」
「どういうこと?」
「つまり、お母さんと同居してた人は、同じ家にいながら隠れてなかったお母さんが体調不良を訴えたんでしょ。なら、同じ家に2人いて、隠れていた場合はどうなるんだろうって思って」
「なるほど」
「んー、いまのところ、同時に同じ家で2人以上が行った例は無いみたい。まあ、『ひとりかくれんぼ』だし」
「そっか、2人同時だとただのかくれんぼだもんな」
「でも、やって見る価値はあるかもね」
「なら、最初に鬼をする奴と終了する奴で分かれるとか?」

僕の案を元丹、リーフとグリーンがいろいろと詰めていく。
その横で、開かれたページを流し読みしていたら、気になる文面を見つけた。

「ねえ、いちぬけたって何だと思う?」
「へ?」
「ほら、1番最初の例のところ。塩水を忘れた人が、他の場所で実行してるひとに鬼をパスしていちぬけしてる」
「ほんとだ」
「他人に呼び出した霊を飛ばすことが出来るってこと?」
「…それで、ひとり鬼ごっこ、っていい方があるのかもな」

ひとり鬼ごっこ。
なんとなく、そこにこの降霊術の起源があると気がした。


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