心からのおめでとうを

「祝!まんば君カンストー!」
「…いぇー」

腕を振り上げるとまんば君も真似してゆっくりと腕を上げた。
後ろで光忠さんが「格好よくお赤飯を炊いてくるね!」と言っていたけど、まんば君あんまりお赤飯好きじゃないみたいなんだよなぁ。

「なんだよーまんば君、ほら!へい!」
「…へい」

手を掲げると、同じ高さでハイタッチをする。
最初の頃は全く息が合わなくて、性格も正反対で、正直合わないなぁと思っていたけれど、こうして思い返してみると中々彼との日々は楽しいものだった。
今ではゆっくりだが私のテンションにも合わせてくれるようになった。布ごと頭をぐしゃぐしゃにしても、黙って受け入れてくれる。

「嬉しいね!よーっしゃっしゃ!まんば君よーっしゃっしゃ!」
「…」

私が満足するまで構われ続けたまんば君は、騒ぎ過ぎて疲れ果てた私を見て首を傾げていた。

「…これからも、絶対に折れたりしないでね」
「勿論だ」
「おお、即答だね」
「あんたを置いて折れる気は更々ない」
「…なんか、まんば君私と会ってから色々なものも一緒にカンストしたよね」
「?」

例えばそう、羞恥心とか。
昔のまんば君ならそんなこと簡単には言ってくれなかっただろう。
今の彼は、思っていることを言葉にすることを厭わなくなった。

「頑張って行こうね、これからまんば君には後輩の育成を手伝ってもらわないと」
「あぁ」
「あー、今度は短刀君達のことお願いしないとなぁ」
「…おい」

まんば君に服の袖を引っ張られて振り返ると、珍しくこちらを真っ直ぐ見つめる碧色の瞳と目が合った。

「…その、あまり…他の連中ばかりになるなよ」
「え?」
「だから……俺を放置、…するなよ」

目を丸くした私を、まんば君は恥ずかしがる様子もなく見つめた。
やっぱり、まんば君の羞恥耐性もカンストしてたのね…。

「…しないよ、まんば君が一番だもんね!」
「…当たり前だ」
「おぉら随分自信に満ち溢れておりますな」
「あんたの一番だからな」

自信たっぷりに言い放ったまんば君を見て私がまたムツゴロウさんになったのは言うまでもない。我が子の成長嬉しいね。
何はともあれ、まんば君おめでとう、これからもよろしくね。



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ひっそりとお友達に捧げます。誕生日おめでとう!

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