13

翌日の放課後、ロッカールームには赤司くんを筆頭に青峰君、黄瀬君、緑間君、紫原君、ボクと苗字君がいた。
誰も一言も喋らない。苗字君は気だるそうにしている。
苗字君を引っ張ってきてから約20分ずっとこのままだ。


「で、いつまでこうしてるつもりだ?黒子くん使って呼び出しといてだんまりとは何様なんだよ、赤司くん?」


苗字君が赤司君を挑発するように不敵に笑った。

「そうだな。折角バスケ部にまで足を運んでもらったのだから本題に入ろうか」

赤司君も挑発するように不敵に笑い、足を組みかえた。

「黒子と再婚するのは本当か?」

「なぁに?ここまで呼び出しといて聞きたいのそれ?黒子くんに聞けば良いじゃん」

あはは、と苗字君の笑い声が響く。


「質問に答えろ」


「はいはい。そうだよ、黒子くんと再婚するんだ」

「なんでだ?あの時バスケ部には近づくなと言ったはずだ」

「不可抗力だよ!僕は近づいてないけど親同士が近づいてたなら仕方ないじゃないか」

確かにそうだ、と思った。
ボクも知らない内に父親と苗字君の母親は仲良くなっていたのだから仕方ない。



「オレは認めない」



赤司君の声が響く。苗字君はきょとんとした顔をしている。


「赤司にそう言われても決まったものは仕方ないと思うんだけど」

「オ、オレも認めない!黒子っちがアンタと再婚するなんて嫌っスよ」

「オレも認めない」

黄瀬君と青峰君も加わった。

「じゃあ、どうしたら認めてくれるんだよ。僕、黒子くんと住むんだけどさー」

部室の空気が凍る。
そう言えば一緒に住む話はまだしてなかったな、と思った。


「そうだな。期末でオレより上位を取る、で手を打とうか」

赤司君が勝ち誇ったように満面の笑みで言い放つ。
ボクらは驚いた表情で赤司君を見た。
ずっと学年トップの赤司君に勝てる訳がない。こう宣言するからには赤司君は今回の期末も完璧に仕上げてくるのだろう。


「いいよ」


苗字君もにっこりと笑った。
何を考えているのか分からない笑みだった。

「おい!名前!!赤司は学年トップなのだよ」

「あれ?しんたろーじゃん!久し振り!同じ中学だったんだー」

苗字君は緑間君に近づいて肩をばしばし叩いている。
赤司君や青峰君たちを無視して緑間君との再会を喜んでいた。

「しんたろーはバスケ部だけど特別」

まるで苗字君は自分に言い聞かすように言い、赤司君の方を見た。

「期末が楽しみだ」

苗字君がまた不敵に笑って部室を出て行った。
緑間君とボクには満面の笑みを向け「またな」と言った。

苗字君が出て言って赤司君の周りの空気が重たい。
赤司君が思い通りに出来ない人物なんだろう。苗字君の余裕を見せつけられたのだから。


期末が楽しみだな、とは誰も思わなかった。












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