12

食事会の後は普通の日常に戻った、と思ったがそうではなかったようだ。

まさか苗字君と家族になるとは思っていなかったので食事会の日の夜は眠れなかった。
そのせいで次の日の朝練で酷い顔をしていたボクを青峰君がからかう。
そのまま授業へ出て部活の練習に参加した。黄瀬君が睡眠不足解消グッズなどを勧めてくれた。



「黒子、そういえば例の食事会はどうなったんだ?」

部活が終わり自主練も終わり、ぽつぽつ着替えだした時に赤司君に聞かれた。
言ったらどんな反応をするのか怖いがボクはもう決心したことなので口を開く。

「苗字くんと家族になりました」


「「「「「は!!?」」」」」


綺麗な揃った声がロッカールームに響いた。
反響で頭がぐわんぐわんする。


「い、いやいやテツ、冗談はよせって。本当のこと言えよ!」

「そうっスよ。黒子っちが冗談言うなんてらしくないっス!!」

「で、どうなんだ黒子?」

慌てふためいて迫る青峰君と黄瀬君が面白い。

「本当です。ボクも納得しました」

「「「…え?」」」

ありえないっスー、と嘆く黄瀬君を横目に緑間くんが詰めよってきた。


「苗字名前は、良い奴なのだよ」

「緑間君は苗字君のこと嫌ってないんですか?」

「あいつとオレは友達だ」

その一言にロッカールーム内の空気が止まった。

「え…み、緑間っちも何冗談言ってるんスか〜」

黄瀬君の声が震えている。

「小学生の時に通っていたピアノ教室が同じだったのだよ」

「苗字君ってピアノが弾けるんですか!」

「すごく上手だったのだよ」

「へー…今度聞いてみたいですね」

ボクと緑間君の会話を遮るように赤司君がロッカーの扉を叩きつけるように締めた。

「黒子。とりあえず明日苗字を連れて来い!!」

鬼の形相で赤司君は言ってロッカールームを出ていった。
赤司君に続いて紫原君も出て行く。


「テツ、帰るか…」

「そうですね」


明日も慌ただしい1日になりそうだな、と思いながら青峰君たちと帰った。
途中のコンビニでアイスを買ってもらった。少し溶けていた。












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