07

唐突に事件は起きた。
放課後体育館へ青峰君と向っている時に見てしまったのだ。

赤司君の胸倉を掴んで睨んでいる苗字君を。

苗字君の後ろには苗字君の友人らしき人達がいた。
急いで睨みあってる2人の傍に駆け寄った。


「苗字君!何してるんですか!!?」

「黒子くん…」

「オイ!手、離せよ!」

青峰君が苗字君の手を叩き落とした。
苗字君が小さく舌打ちをして後ろの友人らしき人達に駆け寄った。
その様子を青峰君が睨んでいる。


「よく分かっただろう、苗字。君が何をしようが周りの評価はもう決まっているんだ」

「赤司だったっけ?そう考えてる内は何も見えないよ。可哀相に」


赤司君と苗字君は睨みあったまま口論を続けている。
苗字君が冷たく言い放った「可哀相に」と言う言葉が頭の中に響いて、優しい苗字君のイメージがらがら崩れて行った。
彼はこんなにも冷たい声が出せたのだ。


「苗字が何と言おうと俺たちバスケ部は君たちのことが大嫌いだよ!」


赤司君がそう叫んだ。
苗字君は俯いて口元に小さく笑みを浮かべていてその表情にぞくっとした。



赤司君の声を聞いてか緑間君たちが慌てて駆け寄ってきた。


「赤司、何をしているのだよ…」

「戻ろう緑間。もう終わった」

そう言い後ろを向き歩きだした。その背に駆け寄って来た紫原君と黄瀬君がついて行く。
青峰君は苗字君達を一睨みして走って行った。


「黒子」


緑間君に呼ばれてボクも歩き出す。
事情はよく分からないが穏やかじゃないことは確かだ。苗字君の表情が忘れられない。
緑間君の横を通りぬけた時、小さく「名前…」と呟く声が聞こえた気がした。



ロッカールームへ行くと赤司君を中心に重たい空気が漂っている。

「黒子。苗字には近づくな。あいつは最悪だ」


赤司君にそう忠告をされた。












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