2022/04/18 よそ見

ご飯を食べさせたい無常の話

「どうしたんですか?突然ご馳走したいだなんて」
「貴女、この前待機中に中華料理がお好きだと仰っていたでしょう?私達こう見えて料理は得意なんですよ」
「お前が好きなものが俺達の作れるものだったから、食べさせてやりたいと思っただけだ」
「そ、それは…ありがたいような申し訳ないような」
「なにも気兼ねすることなどありませんよ。貴女のこと、私達とても気に入ってるんです」
「えっ、初耳です、わたし何か気に入られるような要素ありました?」
「お前は誰かが誰かに惚れるのに理由が必要だと思うのか?」
「ほ、惚れ…!?」
「無咎、いくらなんでも性急すぎでしょうに…。ね、とりあえず今は私達のことは気にせず是非召し上がってくださいな」
「口に合うといいのだが」
「わぁ…すごい品数ですね…これ全部無常さん達が…?」
「えぇ、貴女に食べてもらえるかもと思ったら、楽しくなってしまって」
「冷めないうちに、ほら、口を開けろ」
「そんな、1人で食べれますよ!掬って頂かなくても大丈夫ですから!」
「ああ、そんなツレないことを言わないで…さぁ、はやく口を開けて」
「も、もう………さては、なにか入ってるとか?」
「……」
「……」
「ごめんなさい冗談です何か喋って…」
「傷ついたな、謝必安」
「えぇ、悲しいですね無咎。私達ただ貴女にこちらの食事を一口でも食べてもらえたらと思っていただけなのに…」
「仲間たちに無常さんにご飯に誘われたって話したら、地獄のご飯は食べちゃダメだぞって言われて…ごめんなさい、つい何かあるのかと思っちゃいました…」
「……」
「……」
「えっ……怖いです何か喋って…」
「……余計なことを」
「……計画が台無しですね」
「えっ!?」


裏題:黄泉竈食いさせたい無常の話



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