もう終わってしまった恋のお話




その後、恭弥さんと私の婚約が流れたという話は、瞬く間に広まっていった。
一応体裁を考えてのことなのか、喧嘩別れをしたということになっているけれど、人の口に戸は立てられない、ということわざの通り、密かに真実も噂されている。
あれ以来、恭弥さんは完全に行方を眩ませてしまった。
時々、ラスベガスで見かけた、パリにいた、等と情報が入ってくるけれど、それを頼りに確認に行ってみても、既にいなくなっているか、あるいは情報そのものがデマだった、ということも少なくない。
そんな状況から、ボンゴレは躍起になって恭弥さんを探しているけれど、私は、もういいんじゃないかって、思ってきている。


確かに、悲しかった。全部嘘だったって言われて、君なんか愛してないよって言われて、心がばらばらになってしまいそうだった。
だけど。でも、もう、終わってしまったから。
もう、恭弥さんはいないから。
一生許すことは出来ないけれど、憎むことも出来ない私がいるの。
玲さんを憎いと思ってしまう私が確かにいるけれど、心のどこかで許してしまっている私がいるの。
私では、駄目だったんだね。
私では、恭弥さんを包んであげられなかったんだ。
だからね、もう、終わったの。
私の恋は、もう、終わったの。
終わらせなきゃ、いけないの。






「ツナ、皆、もう、いいよ」


私のために、こんなにしてくれて、ありがとう。
大切にしてくれて、ありがとう。
守ってくれて、ありがとう。
ああ、私はこんなにも愛されていたんだね。


もっと早くに、気付ければ、よかった。



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