残念なことに、私はあなたの特別ではありませんでした




嘘だ、こんなの、嘘。


「きょ、や…さん…?」
「奈津…?」


次の日の、午後。
京子ちゃんとハルちゃんと、ショッピングに出かけて、その帰りに立ち寄ったカフェ。最近新しく出来て、とってもお洒落だって、人気の店。
どうして、ここに、恭弥さんがいるの?仕事じゃ、なかったの?


…隣の女の子、は、だれ…?


言いたいことはたくさんあるのに、胸につっかえて、一つも出てきてくれない。
違う、よね?その人、は、仕事の相手とか、それだけだよね?
お願い、そうだって言って。
違うって、言ってよ、ねぇ…。
恭弥さん、どうして、黙ってるの…?


「…おにーさん、この人、おにーさんの彼女?」
「……婚約者」
「え?うっそぉ…それ、駄目じゃん」


恭弥さんの腕に抱きついていた可愛らしい女の子が、そう言って口元を押さえる。
あーあ、とでも言いたそうな恭弥さんの表情に、目の前が真っ暗になる気がした。


「ちょ…雲雀さん、どういうことですか?」
「…三浦、ハル」
「これって、浮気ですよね?…酷いです、こんなの、奈津ちゃん、本当に雲雀さんのこと、好きなのに…」
「君には関係ないよ、笹川の妹…二人とも、ちょっと黙ってて」
「そういうわけにはいきません!どういうことか、ツナさんたちの前でちゃんと言って貰いますからね!」


「えっと…貴方も、一緒に来てくれる?私、笹川京子よ、貴方は?」
「…久遠、玲」
「玲ちゃんね。…このこと、知ってたの?」
「…おにーさんに婚約者がいること?知ってたよ」
「…じゃあ、なんで…」
「おにーさん、優しいもん。あたしのこと、好きって言ってくれる、大切にしてくれる」
「っ、それは…っ」


「ストップ。玲、続きは後で。こうなった以上、諦めるしかないよ…君も、来てくれる?」
「……ん、」



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