「…つまり、どういうこと?」
「…つまり、どういうこと?」 「貴方は、彼の一番にはなれやしないってことですよ」
そこまで聞いたところで、はっと目が覚めた。 ああ、なんて、嫌な夢。 額に張り付いた汗を拭って、からからに乾いた喉に水を流し込んで潤す。本当に、嫌な夢だ。 恭弥さんが、浮気、してて、骸さんに、私じゃ駄目だって言われるなんて。 気が滅入るからって、ボンゴレ本部に寝泊りしてて、本当によかったと思う。気分転換に、ツナにでも会いにいこうか。そう思って、部屋から出たところで、獄寺くんと目があった。
「あ、奈津さん、おはようございます!」 「獄寺くん、おはよう!」 「って…どうしたんっすか!?顔、真っ青っすよ!?」 「え…っ?」 「ま、まさかお体の具合でも…っ」 「あ、いや、大丈夫!ちょっと嫌な夢見ちゃって…」 「夢…っすか?」 「うん…」
心配してくれる獄寺くんには申し訳ないけど、こればっかりは話せない。 こんなことを話したら、恭弥さんのところに怒鳴り込んでいくだろう。夢のことなんかで怒られるなんて、たまったものじゃないはずだ。 なんとか適当に誤魔化して、今度こそ、とツナのいるボスの執務室に向かう。 どうぞー、という声が聞こえて、中に入った。
「奈津、おはよ!」 「おはよう、ツナ」 「よく眠れた?…だいぶ魘されてたみたいだけど…」 「…ううん、嫌な夢見ちゃった」
双子であるツナには、嘘をついてもすぐバレてしまう。だから、正直に話した。今朝見た、あの夢のことも。 ツナは、黙ってそれを聞いていてくれた。
「…と、いうことなの」 「奈津…」 「大丈夫!ただの夢だってわかってるし…こんなことで、忙しい恭弥さんを呼べないしね」 「うん…そうだね、ただの、夢だよね」 「そうだよ!ツナは心配性だなぁ…」
ただの、夢だって、信じてたの。
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