応接室の扉が唐突にこんこんとノックされた。書類整理をしつつ誰と簡素に尋ねる雲雀の耳に、確か、最近校内を騒がすことが増えた草食動物のうちの一人の声が聞こえた。いや、草食動物というより、小動物か。
かりかりと万年筆を動かす音だけが響く。沢田綱吉です、雲雀さんに御話があって来ましたと礼儀正しい科白がドアの外から聞こえる。
特に群れている気配も無いので、入っていいよと入室を促す。失礼しますと言い扉が開けば、ふわと靡く琥珀の髪が視界の端に映る。
で、何、と用件を尋ねれば、はい、実はと至極真剣に彼が口を開いた。

「雲雀さん、俺は貴方が好きです」
「嗚呼そう」
「はい、では失礼しました」
「明日は遅刻しないでね」


「……は?」

扉の閉まる音がする。とある商店街の予算案にサインしていたため、半ば彼の話を聞き流していたのだが、何だか彼はとんでもないことを言って帰っていったよう、な。
よっしゃちゃんと落ち着いて言えたぞと、帰り道で一人ガッツポーズをしている沢田綱吉のことは、雲雀恭弥は知らない。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -