結局何が如何とか言う問題はあまりにも単純に消え去っていった。
立場がどうの身分がどうのとかいう事象は残念ながら僕の中のナマエが愛しいという感情を掻き消すどころか蓋をすることさえしてくれなくて、つまり何かというと、結局彼女が好きだという感情しか残らなかった。

僕は所謂名家の子息で跡継ぎで、自身で立ち上げた風紀財団の委員長で、そうしてついでにボンゴレというマフィアの守護者、つまり幹部で。
これらの僕の肩書きが彼女に悪影響を及ぼすだろうことは考えなくてもわかることだった。なのに僕はナマエと別れられない。その方が彼女のためになるだろうことも解っていながら、口に出そうとすればするほど胸に閊えて苦しいのだ。

僕の想いは誰にも理解されない。強烈な劣情にも似たこんな愛情を同年代の人間が抱いているかも定かではないし、その上、僕はまだ高校生だった。経験ある大人は僕の想いを莫迦にする、軽く扱う。
僕の師匠を自称するあの金髪の外国人でさえ、僕の恋人の話を聞いたとき、笑ったのだ。もちろんそれは厭味な笑いではない。
「恭弥も人の子だったんだな」という至極失礼な科白と共、浮かべたのは人好きのする微笑ましげな笑みだった。
そう。「微笑ましげ」な笑みだ。
当然ながら僕は彼より子供で、だから多分、あの人にとっての僕はそうでしかないのだ。きっと対等には想われないのだろう。
どうして今彼女と出会って惹かれ合って付き合ってしまったんだ。この出会いがあと五年遅ければよかったのに。そうしたら僕は大人になっていて、きっと、子供の恋愛扱いはされないのに。どうして大人は誰も解ってくれないんだ、僕は君たちと同じくらい、それ以上の愛情があるのに。僕の彼女への想いは年齢なんて関係ない、本気なんだ、本物なのに。

愛することが全てと言えるほど子供ではないけれど、割り切ってままごとの恋愛だったと彼女を捨てることが大人だというのなら、僕は一生子供のままでいいよ。

 ピーターパンシンドローム 


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