十五禁 

身体に感じる昂ぶりとは裏腹に、酷く冷め切った自分自身に内心で嘲笑う。
いつもこうだ。
仕事をこなした後は、いつもそう…まるで情事の後のようなほんの少し心地よい、それでいて吐き気がする程煩わしくて堪らない倦怠感と、まだ足りないと舌なめずりをする獣のような本能とがせめぎあう。
いつもいつもどうしようもなくなって、そのたびに女を抱くんだ。

マフィアの幹部、黒い組織のボスたる者、愛人の一人や二人持ちやがれという意味のわからない持論をエスプレッソと硝煙の匂いが似合う赤ん坊に諭されて渡されたもとい押し付けられた女が何人か、それから僕が適当に見繕った女が数人。
一応、愛人という立場の女はそれなりにいる。
殺して、その中の一人の元へ行って、昂ぶった熱を解消して、また、誰かを手に掛ける。
僕の日常はこんなものだ。

誘うように乱れる目の前の女に、変わらずに冷えた瞳を向けながら、規則的に腰を動かす。
むせ返るような女の色香に反応するのは身体だけで、悲しいほどに、心はついていかない。
どうだっていいのだ、きっと。
多分、今この女が死んでも、僕の心は一向に変化を見せないのだろう。

『貴方って、綺麗だけど彫刻みたい…まるで、氷の像のようだわ』

前に、誰かにそう言われたのを頭の隅で思い出しながら、僕は心の中に湧いた感情に気付かずに、荒れた心のまま、理性を手放して本能に浸る。


…そんな、
何も知らないひとり遊び。

独りに慣れすぎた青年は、
『寂しい』という感情にすら気付かない。



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