other | ナノ



世界はいつだって理不尽だ。





「……、」


煌びやかな内装に目を奪われる。それと同時に、目のやり場に非常に困るような露出の多い、ほぼ下着同然な衣装に身を包んだ女性にどうしたらいいのか非常に困った。



「てめっ…どういうつもりだ!こんなところに連れてきて!!」
「何赤くなってるの」
「なっ…!」



言い合う雲雀さんと獄寺君。普段なら獄寺君が余計なことを言って突っかかるんだけど、今回ばかりは獄寺君に賛成だった。どうしてこの店…!
雲雀さんが贔屓にしている店…らしいが、ダッチさんが言っていたように、この店はどう見てもストリップバーで、売春宿だった。どちらかといえば、ストイックな印象のある雲雀さんに、この店は酷く噛み合っていないように見える。



「あらー!雲龍じゃない!」
「久しぶり、セレネ」
「ここから出たって聞いたけど、帰ってきたのー?」
「色々あってね、里帰りみたいなものだよ」


雲雀さんの隣に座ってる一際綺麗な女の人…セレネさんというらしい…は、この店でもトップの座を争う人らしい。ちょうどストリップショーを終えて、俺達の席にやってきた。そして雲雀さんの隣に座り、その豊満な体を寄せる。それに動じることもなく、普段通り会話をしていた。



「あら?可愛いコねー、雲龍のお連れさん?」
「うえ!?お、俺ですか…!?」
「そうよぉ?あたしはラウラ、よろしくー!」
「よ、よろしくお願いします…綱吉です…」



もう一人やってきたこれまた綺麗な女性、ラウラさんが、なんと俺のところにやってきた。こんな体験、したこともなければこうなると予想もしていなかった俺には、なんというか、刺激が強すぎる。



「赤くなっちゃてー…可愛いわねー!」
「うわわ…!?や、やめてくださ…」
「十代目!?この女…十代目から離れろ!!」
「なぁにー?いいじゃない、ここがこういう店ってわかって来たんでしょ?」
「あ、あの…!」
「十代目!そんな汚いのに触っては駄目です!!」



獄寺君が、そう叫んだときだった。



「……え?」
「っ…テメェ…」

「オイタが過ぎるよ、獄寺隼人」



雲雀さんが、獄寺くんの顔面スレスレに、拳銃を撃ち放った。