other | ナノ



『おい、雲龍。数人連れてくるとは言ってたけどよ…こんな餓鬼連れてきてどうすんだよ』
『勝手に着いてきたんだ、死んでも知らないよって忠告はしたからね。後は勝手にくたばればいい』
『んだと!?』


乱闘から抜け出し、無事に海上に浮かぶ船の上で、またしても獄寺くんが雲雀さんに突っかかっていた。英語なので何を言っているのかはわからないが、雲雀さんとレヴィさんの会話が気に入らなかったらしい。
(美人なこの人はレヴィさんというらしい。さっき簡単な自己紹介をしてくれた)
慌てて諌め、何とか獄寺くんに落ち着いてもらったところで、俺は雲雀さんに話しかけた。



「…あの、雲雀さん。この人達は…」
「彼らはラグーン商会。僕が依頼して、ここまで来てもらった。彼らもロアナプラの人間だよ」


そして船室へと入り、改めて船員と向き合う。


「この黒いのがダッチ、商会のボス。この船の船長でもある。で、彼女がレヴィ。凄腕のガンマンで、二挺拳銃(トゥーハンド)と呼ばれてる。それから、ベニーとロック。彼らは非戦闘要員だね、ベニーは情報担当、ロックは……うん、まぁ、雑用かな」



「よろしくな」
「ま…よろしく」
「よろしくね」
「よろしく」



雲雀さんに紹介された面々が簡単に挨拶をする。
三人は片言の日本語って感じだったけれど、ロックと呼ばれていたお兄さんだけは流暢な発音だった。日本人なのかもしれない。
とにもかくも、怖そうな人もいるけど、優しそうな人もいてくれてよかった…。
最初に、金さえ出せば法外のものでも運んでくれる運び屋だって聞いてたから、もっと怖そうな人たちを想像してしまっていた。


余計な音の一切聞こえない、静かな世界。
波の音を耳にして、俺たちはロアナプラへと向かった。