最近、並盛町を騒がしている事件がある。




「……そう、わかった。それは君達で処理しておいて」



恭弥も、その件でかなり忙しそうだ。
忙しなく出入りしていく風紀委員の人達に指示を飛ばし、自身は書類を片付けて、強化された見回りに出て行く。
しばらくして戻ってきた彼が、少し落ち着いた頃合を見計らって、紅茶を出してやる。



「…お疲れ。大変そうだね」
「名前…。そうだね…どこの誰だか知らないけど、僕の領域で、随分な真似をしてくれるじゃない」
「でも、そろそろ犯人に行き着いてもいい頃合だと思うんだけど…」
「…いや、全く犯人に繋がらない。計画的犯行かつ…表の人間の仕業じゃないね。並盛の人間である可能性は低い、黒曜のような隣町か…あるいは、全くの余所者か」
「さすがだね…あれだけの情報で、ここまで…」



恭弥の頭脳は、時々怖ろしい。
集めた情報で、そしてパソコンを叩いて、すぐに真実に行き着いてしまう。
相変わらずの無表情で思案に浸る彼の邪魔をしないよう、黙って隣に寄り添う。
しばらくそうしていると、不意に彼が顔を上げた。



「…そういえば、」
「ん?」
「隣の黒曜中で、転校生が学校を纏め上げたって聞いたな。噂じゃ、一日とかからなかったとか…」
「黒曜中…」
「時期も合う…。その線と、裏から洗うか…」



するするとピースが集まっていく。
黒曜の転校生が三人組であり、裏関係の人間であると知れたのは、たった二時間後のことだった。
獰猛に笑った恭弥が、トンファーを片手に応接室を後にした。




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