「雨…」


帰ろうとしたら、運悪く夕立に遭ってしまった。
まったくもってついていない。
普段は置き傘をしているんだけど、こないだ使ってしまって、それから持ってくるのを忘れていたのだ。
明日、ちゃんと持ってこよう。
そう現実逃避しながら、覚悟を決めて雨の中に足を踏み出す。
その瞬間、首根っこを引っつかまれて、校舎に逆戻りさせられた。


「ぐぇっ!!」
「…なにその色気のない悲鳴」
「恭弥!」
「それ以外の誰に見えるの、」


私の殺人未遂犯は、恭弥だった。
っていうか、苦しい!苦しい!首!首絞まってる!!


「恭弥、首!首!!」
「ああ、ごめんね(棒読み)」
「このやろう」


にっこりといい笑顔をして、恭弥は手を離した。
ムカつくけど、私では恭弥に太刀打ちなんか出来ないのでとりあえず地味に足を蹴っておく。
…倍の力で踏み返された。
恭弥このやろう。


「…ん、」
「……あのー、恭弥さん?この傘って、もしかして、」
「早く入りなよ、君に風邪を引かれると、困る」
「…っ、」


ほら、ね。
こういうとこ、皆知らない。
恭弥は、ほんとは、優しい。
…人を限定するけど。


「…ありがと、」
「……別に、」


大きめの黒い傘に二人で入って、はんぶんこ。
これって、相合傘だよね。
そうだね。
なんて会話を交わして、恭弥の家に帰る。
さっきのは、訂正。やっぱり今日は、運がいい。









ちょっとメルト(唄:初音ミク)を意識してみる。

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