恭弥にキスをされた。
なんで、どうして。そんな疑問ばかりが募っていく。
それでも、離された唇は熱くて、私を見つめる恭弥の瞳は、痛いくらいに真剣で。
ああ、もう、私達の関係は変わってしまったんだなって、直感的にそう、思った。
もう、誰よりも近くて、誰よりも遠かった関係は、終わりだね。
これからは、新しい関係を、始めよう。
「…恭弥」
真っ直ぐな瞳が、私を射抜く。
わかってしまった、恭弥の想いが。
ううん、きっと、もっとずっと前から気付きかけてて、でも、見ないふりをしてたんだ。
恋人という確かな、でもとても脆い関係になるのが、怖かったのかもしれない。
幼馴染なら、ずっと一緒だって思ってたから。
「…名前、好きだよ」
僅かに震えていた恭弥の言葉。
その言葉が、私はずっと欲しくて、ずっと怖かった。
「守るから、ずっと、傍にいるから、離れないから…だから…」
「名前、僕と付き合って」
YES以外、言えるわけがない。
溢れた涙も気にせず、なりふり構わず、恭弥の胸に飛び込んだ。
「っ…うん、恭弥、私も、ずっと好きだった」
さようなら、幼馴染の恭弥。
さようなら、臆病な私。
こんにちは、恋人の恭弥。
こんにちは、一歩踏み出せた私。
二人で恋を、始めよう。