僕の中で、何かが弾け飛んだ。
名前とキスして、彼女を失いたくないという気持ちより、名前が欲しいって気持ちの方が勝ったみたいだ。
欲しい、欲しい。もう、幼馴染ではいられない。
誰より君の傍にいられたけれど、きっと、誰よりも遠かった。
僕たちの間には、ずっと性別がなかった。
だけど、僕らは成長する。嫌でも、男と女になってしまう。

二度のキス。
名前の知らない一度目のキスと、事故で起こった二度目のキス。
今だ熱の残る唇を一撫でした後、周りに群がっていた草食動物達を適当に咬み殺して、名前の後を追いかけた。
逃がさないよ、名前。僕は君が、欲しい。






「…私は変態か」
「へぇ、名前、変態なの」
「っ…!?」


ようやく見つけた名前は、音楽室の奥にいた。
ワォ、好都合な場所。
誰も来ないし、名前は奥の方にいるし。
手のひらを握り締めて、名前に近づく。
…これからすることに、緊張でもしてるのかな。
あの時と同じだ。眠ってる名前に衝動的にキスしてしまった、一年前の夏の日と。
机に手をついて、逃げられないように包囲する。
顔を近づけて、瞳を覗き込むと、名前が息を呑んだのがわかった。



「…僕が、怖い?」
「っ、え…?」
「そういう表情をしてる…」


本当に怖がっているのは、僕だ。
僕は今から、君の幼馴染であることを放棄する。
そう吐息交じりに囁いて、そのまま唇をゆっくりと重ねた。


「っ…!?」






これで、もう、戻れない。

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