名前と、キス、してしまった。
切実に聞きたい。どうしてこうなった。


ようやく見つけた名前は、群れた女に囲まれてて、何故か頬を腫れさせていた。
その情景だけで状況を理解した僕は、今すぐぐちゃぐちゃに咬み殺したいのを我慢して、脅すだけに留める。
名前の前では、なるべく咬み殺したくない。
名前は、綺麗なものだけ見ていればいいんだ。
群れてた女達は、きっと僕のファンとかいう奴らだろう。
自分が世間一般で言う美形の部類に入るということは、つい最近自覚した。
というより、名前が何度も言うから、というのが正しいけれど。
他人の美醜なんて正直どうでもよかったのだが、名前が、恭弥ってファンクラブあるんだねー凄いねさすが美人なんて言うから、そんな馬鹿なと調べてみたら本当にあった。
あの時は、心底女ってわからない生き物だとある意味感心したものだった。
おかしいだろう。
自分で言うのもなんだが、基本暴力しかしてないのに、何で好きになれる、マゾなのか。
そう頭を抱えたくなったが、名前曰く、女のそういう集まりは解散させることはまず不可能らしいので、諦めて放置することにした。
…それが間違いだったと、すぐに後悔することになるのだけれど。


そのファンクラブとやらに、名前は徹底的にマークされてしまったのだ。
理由は、幼馴染だから。
……おかしい、絶対におかしい。
どうやら、彼女達は、僕が名前と話していることが気に食わないらしいのだ。
……僕に誰とも話すなと?
いや、基本不都合はしないけど、名前と話せないのは困る。
君達だってさ、好きな相手とは話したいでしょ?
こんな簡単に話せるのは、幼馴染の特権なんだ。
でもね、できることなら、恋人になりたい。
恋人の特権がいい。
…そうは、思ってたけど。こんなハプニング、いらないよ!
僕の上に乗っかって、信じられない、とでも言いたげな顔をする名前。
可愛いな、と場違いに思うけど、それどころじゃない。
ほんとにやめて欲しい、嬉しいハプニングではあるけれど…


「ひっ、雲雀さんの上に、名字が乗ってる!?」
「っていうか、さっき唇当たってなかった!?」
「え…じゃあ、キス!?」


いるかどうかもわからない神様。
こういうことするなら、もう少し場所を考えてよね!


「っ…!ご、ごめん恭弥!!」
「ちょ、名前…!」


現状認識した名前は、真っ赤な顔をして僕の上から飛び退き、そのままどこかへ逃げていってしまった。
小さく、わ、私のファーストキス!って声が聞こえる。
やばい、今は気が動転してるみたいだけど、明日には怒られるかも。
まさかの恭弥に、ファーストキス奪われた!ってね。
どうしよう…。
ねぇ、名前。君のファーストキスは、とっくに僕が奪ってたんだよって言ったら、どんな顔するのかな。










雲雀くんの脳内には名前ちゃんしかいないみたいです。
つか誰コレ。最早キャラが完全迷子。

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