恭弥がやってきた。
ほらね、貴方はいつだって私のヒーロー。
怯えて青ざめる女の子達は総無視で、少し心配げに私に近づいてくる。


「名前…」
「えーっと…ハロー、恭弥」
「ハロー、じゃないよ。何してるの」
「ちょっとお話し合いを…」
「頬の赤くなるお話し合い?」
「うっ…」


そっと頬を撫でられる。
白くて冷たい手は、いつ見ても男のものとは思えないくらいに綺麗だ。
でも、トンファーを振り回すからか、意外にしっかりとしてて、大きくて、時々凄くドキドキする。
何もかもが美しいとは、我が幼馴染ながら感服する。
そんなだからファンクラブなんかが出来るんだよこんちくしょー。


「…早く消えて」
「っ…」
「早く消えろ、咬み殺されたいの?」


冷えた殺気を遠慮なしにぶつけて、そんな脅しに近い文句を口にする。
恭弥の怒りを感じ取ったのか、先輩達は慌てて逃げていった。
それを確認した後、恭弥は私の手を握って、階段を下りていく。


「きょ、恭弥?」
「早く冷やさないと…赤くなってる」
「あ、うん。ありがと…っ!?」
「名前っ!」


突然、視界が反転した。
手を握られて、柄にもなく緊張したためか、階段を踏み外してしまった。
そうすると、手を繋いでいる恭弥も必然的に落ちるわけで…
何とか私を助けようと、恭弥が私を抱きしめて、自分が下になる。
認識できたのは、そこまで。
次に私が感じたのは、床に落ちる衝撃と、唇に何かが触れる感触だった。


「……、…え?」
「………」


キス、してる?
視界いっぱいに広がる、恭弥の、女顔負けに白くて端整な顔。
彼の形のよい唇が、私の唇と重なっていた。

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