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ダメツナこと沢田ツナ、現在高校二年生、の日常は、大好きな兄を送り出すことから始まる。

「じゃあ、行ってくるな、ツナ!」
「うん、綱吉!行ってらっしゃい!」

沢田奈々もとい天使の代名詞、沢田兄弟の母親と、自分にそっくりながらも性格、性質、能力の全く違う自慢の兄、大学生兼バイトモデルの沢田綱吉。
そして、何をやってもダメダメなダメツナ、沢田ツナ。
とある一軒家に住む沢田家の住人はこの三人である。
そして、弟であるツナの楽しみはこの兄を送り出す時なのだ。
いや、そう言うと少し誤解があるかもしれない。
正確には、兄を迎えにくるとある人が目当てなのだった。

「やあ、綱吉。今日は早かったね」
「お!恭弥、おっはよー」
「恭弥さん!おはようございます!」

綱吉が家の外に出た時、低いエンジン音を響かせて家の前にバイクが止まった。
GSX1100Sカタナ…スズキの大型二輪車で、美しい形状と乗る人の好みなのか濡れたような漆黒に彩られていて、マニアが見たら卒倒ものというほどの代物である。
つまり、完璧に手入れの施されたまごうことなき名車である。
そんなとんでもない単車に乗って沢田家に現れたのは、またとんでもない人であった。
並盛恐怖の代名詞、雲雀恭弥。綱吉と同級生で、大学生兼俳優。
親が間違えたとかなんとかで弟と同じ名前なため、兄を恭弥、弟を雲雀と呼んでいる。
ちなみに、過去並中並高と最強最凶の風紀委員長として君臨していた。
その恐怖政治は、今は弟が引き継いでいる。

そんな彼が、なぜここに来たのか。
答えは簡単である。
恭弥、綱吉、そしてここにはいないが骸という名前の三人は、中学時代からの悪友であり、その腐れ縁はずるずると大学時代をエンジョイしている今まで三人に纏わり付いているのだった。
とどのつまり、口では憎まれ口を叩きながらもなんだかんだ言って綱吉と仲のいい恭弥は、ちょうど家から大学までの通り道にある沢田家に立ち寄って、綱吉を拾いにきたのだった。

ついでに言うと、ツナは恭弥が好きである。
恭弥のことに関しては、普段大好きな兄にも、普段怯えて逃げる雲雀にも敵対心を露にする。
そんな彼は、今日も今日とて大好きな恭弥に抱きついた。

「恭弥さん!」
「っと…全く、毎朝恒例だね、ツナ」
「だって、恭弥さんが大好きなんです!」
「あー!恭弥ズルイ!俺だって最近ツナに大好きって言われてないのに!!」
「うん綱吉も好きだよでも俺恭弥さんが一番好き!」
「恭弥なんか嫌いだ!この恋敵!」
「叩くな置いてくよ?」
「嘘ごめん恭弥まじ大好き愛してる」
「あー!綱吉ダメだからね俺の方が恭弥さんのこと好きなんだから!」
「はぁ…毎朝疲れる」
「どんまい恭弥☆」
「なに君イラつくんだけど殴っていい?」
「暴力反対!」

「皆ー、なんでもいいんだけど、つーくんはそろそろ遅刻しちゃうわよ?」
「マジでか!ありがと母さん!恭弥行こう!」
「はいはい…じゃ、失礼します、奈々さん」
「また来てね、きょーくん」
「母さん俺の朝ごはんは?」
「つっくんの朝ごはんなら、テーブルにあるわよ?」
「ありがと母さん!綱吉、恭弥さん、行ってらっしゃい!!」
「「いってきます」」

毎朝恒例行事。
沢田兄弟と恭弥の漫才、そしてそれは天使の一言で終わりを迎える。




《後書き》
ぐだぐだだなんだこれ。
とりあえず、こんなかんじの緩い雰囲気でいきます。
我が家の恭弥はある意味愛されてます。

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