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「風紀違反」


並盛町の中心部。十字に広がる商店街の路地裏に、数人の不良がたむろしていた。
見るからに校則違反な制服、飲酒に喫煙。
風紀違反の見本市のようなその男達に近寄り、そんな言葉を言い放ったのは、制服をきっちりと着込んだ華奢な体躯の男子生徒である。
ふわふわとした琥珀の髪と蜂蜜色の大きな瞳、それに真珠のような滑らかな白い肌は文句なしに愛らしい容姿なのだが、纏う雰囲気は氷のように冷え切っており、気安く近づけるようなものではない。
その雰囲気が、彼を甘やかなものでなく、独特の色気を纏った威圧感のある少年を作り上げていた。


「ああ?んだ、テメー」
「ちょ、まずいっすよ兄貴!」
「ああん?」
「こいつ、風紀委員じゃないっすか!?ほら、あの腕章!」
「あ?…っち、だとしても、こんな餓鬼に何ができんだよ!」


相手がひ弱ような少年であると知って、不良達のリーダーは軽く笑い飛ばす。
だが、子分であるところの男たちは、互いに顔を見合わせて冷や汗を流していた。
並盛中の風紀委員。
それは、街にばっこする不良達にとって一番恐れるべき対象である。
並盛の風紀を正すためなら暴力も辞さないという過激な精神ももちろんであるのだが、その主な理由は彼らを統括するボス、風紀委員長雲雀恭弥の存在だった。
彼は、強い。
そこいらの不良が何十人と束になってかかっていこうとも、笑みを浮かべて粛清してしまうとんでもない強さをもっているのだ。
だというのに、彼は、見た目だけならとんでもない美少年である。
どこの良家の子息だというほどに品もよく、色も白いため儚げな印象すら伺える。
なのに、強い。反則なまでに強い。
そんな前科があるのだから、目の前の美少年がいくら華奢でも、折れそうに細くても、警戒するなという方が無理があった。
だって…


「今は授業中ですよ。飲酒、喫煙は風紀違反…粛清対象、ですね」


瞬時にロッドを取り出し、構える。
そう言って、にぃっと笑った顔は、風紀委員長にそっくりだった。
彼が、雲雀に続く恐怖の風紀書記、沢田綱吉だと不良達が知るのは、入院先の病院でのこと。




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