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「雲雀さん…俺、貴方が好きです」


生まれて初めて、誰かに告白をしました。
心臓はどくどくとうるさいくらいに高鳴って緊張しているのに、きょとんとした貴方の珍しい表情は可愛かった、なんて。
呑気な自分に内心で苦笑する。
馬鹿だなあ…どうせ、何秒か後には、気持ち悪いって殴られるの、わかってるのに。


雲雀さんが好き。
俺の心は、もう随分と昔からこの気高い漆黒に引き寄せられていて、学生の頃は、貴方の言動に一喜一憂したけれど…今はもう、早く諦めなきゃって気持ちばかり焦って、やるせない。
馬鹿だ、俺。
この人は、とっくの昔に誰かのものなのに。
並中を卒業してから、忽然と姿を消した雲雀さん。
リボーンから、高校から海外に留学したって聞いた。
相変わらすの頭のよさだなあ、なんて感心していたけど。
けど、まさか。
大学生になって、夏休みに日本に帰ってきた時、恋人を連れてくるなんて思わなかった。
俺なんか、逆立ちしたって敵わない、とっても綺麗で可愛い人。
大学も卒業して(驚くなかれ、なんとオックスフォードだ)、財団を立ち上げて、そして間もなく二人は結婚した。
今も、雲雀さんの薬指に輝く指輪がそれを証明している。


最初から、わかってた。
叶わない恋だって、不毛すぎる恋だって。
それでも…。
この人を好きでいたかった。
雲雀さんは、孤高の浮雲だから、誰とも付き合わないんじゃないかって、甘い幻想を見ていたんだ。


作戦決行は明日。
正一君がいるから、大丈夫ってわかってるけど、それでも、万が一ということもある。
だから。最後に、伝えたかった。
貴方が好きです。たとえ、嫌悪の瞳で見られようと。

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