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しゃらん、と、鈴の音が響く。

これはいったいどういうことか。
学校帰りだと人目でわかる制服姿に、肩から提げた学生鞄。そして三人のうちの一人はそれにくわえてエナメルバック。
通りすがりの女子学生が少し騒ぎそうな容姿を除けば、至って何の変哲もない、ただの学生三人組である。


「…どうしよう、獄寺君、山本…」

俺達、遭難しちゃった?


淡い茶色の髪をした男子生徒が、引き攣った声でそう呟いた。





「申し訳ありません…!俺がついていながら、十代目を遭難させてしまうとは…!!」
「おっかしーな…俺ら、普通に帰ったと思うんだけど…」
「獄寺君、落ち着いて!!…でも、山本の言う通り、おかしいよね。俺達、本当に普通に帰ってただけなのに…寄り道もしてないし…」

周りの情景は、いつもの通学路とは打って変わって、どこか時代錯誤な気配すら感じる。
そもそも、自分達は夕方、空が茜色になりかけた時間帯に学校を出たというのに、今は、既に建物に灯りが灯っている。
その上、周りを歩いている者たちは皆、着物に身を包んでいた。
そう、まるで。
ちょうど授業で習った、江戸時代の花街のような。
そんな気さえした。

その時、三人が三人、同時に異様な空気を感じてばっと後ろを振り向く。
同じく、この異様な空間もその空気に過敏に振るえ、周りの者達も皆それぞれに反応を示していた。

しゃらん、しゃらん。
鈴の音が響いた。



「あら、あの方は…」
「相変わらず、美しいおかんばせね」
「あの御髪だって、まるで絹のようだわ」


その男は白だった。
花魁道中の如く、華美な、それでも品のよい着物に袖を通し、御付きの者が一歩後ろで、白い唐傘を差している。
長く伸びた白髪を後ろで緩く束ね、無造作に遊ばせている。

そして、その、ぞっとするような威圧感。
そうだ。これは、白蘭に対峙したときの感覚に似ている。
邪悪な感じとでも言えばいいのか。いや、違う。確かに禍々しいが、それと同時に、澄んだ苛烈さをも感じた。
底知れない威圧感。

だが、その男の顔に。
彼らは見覚えがあった。



「…ひ、ばり…さん…?」
「……ワォ。沢田綱吉、獄寺隼人、山本武。…君達が、どうしてこちら側にいるんだい?」


彼は、雲雀恭弥。
彼らの学校の風紀委員長に、酷く酷似していた。




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