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「…で?君達がいるのはわかってるけど、何でチンピラがいるの?」
「んだとテメェ!!」
「うるさい…」
「落ち着け、雲雀。コイツは俺が連れてきた…ツナのボディーガード代わりだ」
「死体が一つ増えるね」
「ああ!?」
「落ち着いて獄寺くん…!」


朝霧の立ち込める早朝、人気のない倉庫の立ち並ぶ港へと集まった俺達に、出会った早々雲雀さんは不機嫌そうな声でそう言う。
当初は俺とリボーンだけのつもりだったんだけど、心配してくれる獄寺くんに根負けして話したら、一緒に来ると言って聞かなかった。
結局、リボーンが折れ、彼も一緒に来ることになった。
早々に喧嘩になりはしないかと心配したけれど、一応同行を許可してくれたみたいでよかった。


「…遊びじゃないんだよ、」
「わかってます…でも獄寺くんは、俺を心配してくれてて…」
「全然わかってないね、君」
「う…、」


この時の雲雀さんの言葉を、俺は本当には理解していなかったんだろう。
日本から遠く離れたかの街で、俺はこの言葉をもう一度思い出すことになる。


「…何か来た、走って!!」
「ツナ!獄寺!来い!」
「うわぁ!!」
「十代目!走って下さい!!」
「ちょうど船が来たよ、アレに飛び乗って!!」
「雲雀さんは…!?」
「…僕は、アレを片付ける…!」


突如として響く足音。
いち早く気付いた雲雀さんとリボーンが声を荒げるも、相手も用意周到らしく全ての方向から次々と人が現れる。
ちょうどいいタイミングで現れた船がもう少しで甲板に着きそうだった。
だが、この距離では船が着くより早く敵に追いつかれてしまう。
最悪の未来を想像して冷汗が流れたが、またしても雲雀さんが敵前へと駆けて行く。
行け!と叫んだリボーンが援護射撃をしていたが、彼が優勢なのはそれだけではないだろう。
流れるような銃捌き、踊るように舞う体躯。敵陣を駆け抜け敵を殺す彼は、素人同然の俺が見ても明らかに強かった。

そうこうしているうちに、船が到着する。
急いで乗り込んだ俺たちに続いてリボーンも乗り込む。
間髪いれずに船が発進したが、まだ雲雀さんが乗っていない!そう叫んだ俺を押しのけ中から出てきた女の人が、援護射撃をしながら何かを叫んだ。


「Ride(乗れ)!雲龍!」


ぎりぎりを走行する船に駆け寄り、甲板から雲雀さんが飛んだ。
空中でくるりと一回転し、置き土産とばかりに手榴弾を放り、銃を撃ちながら不敵に笑う。
笑みを浮かべたまま、陸の敵に向かって嘲笑した。


「Go home quickly , shit and sleep!(さっさと帰って糞して寝ちまいなよ!)」





派手な爆発音だけを港に残して、俺たちは南シナ海へと繰り出した。



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