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「…凄いですね」


ヴァリアー側から、高い声が聞こえる。
視線を向ければ、そこには神威さんと同じように、チャイナ服に身を包んだ綺麗な女の人がいた。
穏やかな笑みを浮かべてはいるが、その瞳は好戦的な光に彩られている。
彼女の手には、赤い番傘が握られていた。


「その肌、その傘…貴方、夜兎でしょう?」
「あり?お仲間さんかい?」
「ええ、私は李兎(りと)といいます」
「俺は神威…で?アンタは、そのヴァリアーとかいうところの隊員かい?」
「こちらの雲の守護者候補です」


彼女は、雲の守護者候補であるらしい。
リボーンがいうには、その李兎という彼女はヴァリアーでも随一の強さを誇っているらしい。
夜兎…という戦闘民族の一人なんだとか。
…あれ?ということは、今の会話を聞く限り、神威さんも、その夜兎という民族の人なんじゃ…。


「阿伏兎が聞いたら嘆くだろうな。何だってこんなとこで、数少ない夜兎が燻ってるんだか。ってさ」
「生憎、ここが私の居場所ですから…。私はここで、生きると決めました」
「ふぅん…その言い草、その主張…どっかの誰かにそっくりだな…」


薄く開けられた瞳。そこから覗く、冷たいアイスブルーの双眸。
冷たく低い声音。
…普段、にこやかに笑っている神威さんばかり見ている分、それが酷く恐ろしいものに見えた。

「まぁ、いいや」
その雰囲気を断ち切るように、またにこやかな笑みに戻る。
そして、順番まで戦えないならここにいても仕方ない、と言ってそのまま帰ってしまった。


「…はぁー…やっと帰ったか…」
「ディーノさん!今までどこに…」
「ちょっと修行にな…」


彼が帰ると同時に、ぐったりとしているディーノさんに駆け寄る。
一体、何があってこうなったんだろう…。
というか、もしかしなくても、神威さんがこの戦いに参戦してくれるんだろうか。
だとしたらありがたい。喧嘩の場面しか見ていないが、彼は連戦連勝だった。
…それに、とても戦いなれているようだったし。今の、ことも。


「おい、ディーノ、どうなってんだ?」
「リボーン…?」
「お前は、雲雀を鍛えてくるんじゃなかったのか?」
「いや、それがな…どうやら遠出してるらしいんだ。んで、何やかんやでアイツが代理になるっつーから修行してみたんだが…おっそろしく強い。修行なんていらねえレベルだ。それに…見ただろ、アイツは殺しに抵抗なんざねーよ」
「…そうか」




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