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「なるほど…つまりこの指輪を賭けて殺し合うわけだ。ちなみに、相手は?」
「…ボンゴレ独立暗殺部隊、ヴァリアー。殺しのプロだ」
「暗殺部隊かぁ…。つまり、隠密方面?」
「いいや、タイマン勝負のが強いぜ」
「奇遇だね、俺もなんだ」


激しい破壊音が山に響く。
響く振動に、近くの鳥達は危機を感じて次々と飛び立っていってしまった。
人気のない山奥、そこにディーノと神威はいた。
開けたそこで双方打ち合う。ディーノの鞭が宙を舞い、神威の動きを阻む。それを高く跳躍することでかわし、木を蹴った反動で拳を叩き込む。ディーノが避けたため、代わりに近くの大木があっさりと倒れた。
ちなみに、神威は日光を遮るため片手に番傘を握ったままだ。
冗談のような破壊力に冷汗が伝う。
切実に問いたい。どうしてこうなった。

自分が修行をつけ、そして雲の守護者を担ってもらうつもりで雲雀を探しにきたはいいが、当の雲雀は不在。
ひょんなことから、入れ替わるようにそこにいた神威という少年が代わりを担うと言い出し、修行を始めてみたらどうだ。
師匠なんていらないレベルで強い。むしろ自分が教わるべきじゃないのかこれは。
というか、最早別次元だった。
体格は普通…いや、むしろ華奢な方だというのに、何なんだこの力は。どこから捻り出してるんだ。
体重も普通にあるのに、身軽さが半端でない。あの嘘みたいな跳躍力は、人間の及ぶ範囲なのだろうか。

最初は学校の屋上で戦っていたのだが、すぐに大破させてしまったので急遽場所を変えた。あの判断は正しかったと自分を褒めてやりたい。
片手で大木もコンクリートも粉砕するとか、もう、本当…。


「誰か嘘だと言ってくれ…」


件の暗殺部隊のスキル、通称ヴァリアークォリティー並みの動きを軽々とこなしながら、自分と飄々と会話する彼を視界に入れて、ディーノは、最早何度目かわからない溜息を盛大に吐いた。
帰りたいのに、彼に強者認定されてしまい、帰るに帰れない。
「お兄さん強いね!もっと戦ってよ…大丈夫、先が楽しみだし、殺さないから」
なんて物騒なことを素敵な笑顔でのたまってくれたピンク髪の彼、神威の蹴りを寸前で避けて、何とか並盛の町へと帰還する方法を必死で考える。

案1。神威を倒す。
…却下。どう考えても、不可能だ。

案2。強者認定を覆す。
…これも却下。むしろ永遠に帰れなくなる気がする。

案3。神威が飽きるまで耐える。
…これしか残らない。
だよなー…、と呟いた声は、自分でも同情したくなるほどからからに渇いていた。

目の前の少年の、飢えた獣のような瞳。
本能の塊のような、むき出しの闘争心。
重く鋭く、身体が竦むほど濃厚な殺気。





その姿に、畏怖にに似た感情を抱いている自分がいた。



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