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「へえ…君が神威の言ってた、"銀髪のお侍さん"?」
「っ…バカ兄貴の知り合いアルか」


玄関で困る新八を無視し、無遠慮に家の中へと上がっていく。
雑誌から顔を挙げ、「ん…?」と声を上げる銀時を見つめ、に、と笑みを形作った。
神威、の名に反応した神楽が瞬時に飛び起きる。


「バカ兄貴…ああ、じゃあ君が彼の妹?」
「…だったら何アルか?」
「僕は、君に会いにきたんだよ」
「……?」
「僕は君と、銀髪の侍に会いにきたんだ」


そう言って、艶やかな笑みを浮かべる。
一瞬のうちに膠着状態となる。ぴり、と肌を刺す殺気を感じた。
銀時は腰の木刀に手を伸ばし、神楽に至っては番傘を構えてじりじりと間合いをはかっていた。
三人の視線が交差する。刹那。
少年の姿が消えた。


「っ…!?」
「神楽…っ!上だ!!」


とっさに飛び退く。先ほどまで神楽がいた場所に、鋭い蹴りが打ち込まれていた。
驚異的なスピード、だがしかし、飛び退いた反動で神楽もカウンターを返す。一拍遅れで、銀時の木刀が宙を切り裂いた。


「……」
「……」

「…なるほどね」


一瞬の静寂の後に、澄んだ声が再び響いた。
互いに獲物を交差して向け合う銀時と少年。反応出来なかった神楽は、彼の番傘に弾き飛ばされてソファーに飛ばされていた。
この攻防戦に要した時間は、せいぜい一秒であろう。
目視も危うかった新八は、当然の如く一歩も動けていない。彼の額に雫が伝った。
正面から少年と向き合っていた銀時は、しばらくして小さな笑みを零し、己の獲物を舌に下ろした。


「…おいおい、いきなり人ん家に入ってきて、この仕打ちはないんじゃねーの」
「……悪かったね。でも、これが一番手っ取り手早いと思ったんだ」





『面白いやつがいるんだ、地球にネ。銀髪の侍に会ってみなよ』

出かける前に、神威の零した言葉に従って来てみれば、どうやら本当に当たりらしい。
自然と笑みが零れる。
突きつけていた番傘を話して、いつもの微笑を貼り付けた。


「僕は雲雀。わかってると思うけど、夜兎の一人だよ。まぁ、しばらくよろしく」





歌舞伎町に絶叫が響くまで、あと三秒。

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