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「あー、すっきりした」


一振り。
それが、かの少年がこの場に乗り込んできた強盗を制圧するのに要した手数だった。
三人まとめて軽く吹っ飛ばされた強盗は、仲良く道端に伸びている。
番傘を振るった後も何事もなかったかのように食事を続けた彼は、その後十皿ほどを一瞬で完食し、レジに札を置いてそのまま立ち去ってしまった。


「…なんだ、今の奴」
「……多分、夜兎アル」
「あん?」
「今の奴、肌が真っ白だったネ。番傘も持ってたアル」
「なるほど、テメーのお仲間さんか」
「ま、まぁ…とりあえずよかったじゃないですか、強盗事件が片付いて」


そう片付けて、三人も焼肉屋を後にする。
見送ってくれた女将の顔色が真っ青だったのは気のせいだと思いたい。


「うぇっぷ…銀ちゃん、肉が出そうアル」
「出すんじゃねーぞ神楽!勿体ねえ!!」
「ちょっとちょっと!道端で吐くのだけは止めて下さいね!?」


ぎゃあぎゃあと騒ぎながら万事屋へと帰宅する。
家に戻って、神楽はソファーへと寝転がり、新八は掃除を始め、銀時は雑誌を読み始める。
こうして、日常は過ぎ去るはずだった。
たとえ焼肉食べ放題が当たろうとも、たとえ強盗事件に巻き込まれようとも、それはまだ日常で片付くはずだった。
この、インターホンが鳴るまでは。


「お、客だ。おい新八ー、ちょっと出てくれ」
「たまには銀さんが動いて下さいよ…はーい、今行きまーす!」





「はい、どちら様ですか?」
「やぁ。ここに銀髪の侍がいるって聞いたんだけど…」
「って、貴方はさっきの…!?」


強盗を一瞬でのした少年が、そこにいた。

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