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前回までのあらすじ。
福引で焼肉食べ放題を当てた神楽のおかげで、焼肉屋を訪れた万事屋一行。
だがしかし、突如強盗犯に占拠されてしまう。
銀時たちはこの危機を脱することが出来るのか!?





「……ってちょっと!!ご大層な煽り文句ついてますけど、あんたら焼肉食べてるだけじゃないですか!!何とかしろとは言わないけど、せめて人質らしくして下さい!!」
「うっせー新八!!早く食べねえと神楽に全部持ってかれるだろうが!!」
「ふっ…遅いアルな、霜降り牛はとっくに私の腹の中ヨ」
「あああああああ!!!てめっ…このブラックホール胃袋娘!!俺の霜降り――!!」

「…っておいィイイイイ!!!テメーら自分らの状況わかってんのか!?こちとら強盗してんだよ!!」

「うっせーハゲ!!こちとら大事な戦争中なんだよ!!んな寂しい頭した奴に肉の大事さなんてわかってたまるか!」
「テメーは一人寂しくワカメの重要さを噛み締めてろヨ」

「カツラをかぶれってか?カツラをかぶれっていいたいのか?」

「いいから霜降り返せー!!!」
「無理よ銀ちゃん私に吐け言うアルか!!?…おぼろぉおおお!!」
「ぎゃー!!神楽てめっ…仮にもヒロインがんな汚いことすんじゃねーよ!!止めろ戻せまだ間に合う!!」
「間に合ってませんよ!重大な何かが手遅れです!!」




「うっせ――!!!テメエら、大人しくしてろ!!こいつがどうなってもいいのかっ!?……ってテメーも当たり前のように肉食べ続けてんじゃねーよ!!」

万事屋三人が即席漫才を繰り広げ、それに便乗させられた強盗犯一、その軌道修正を図った勇者、もとい強盗犯二も、呆気なく馬鹿の波に飲まれてしまう。
彼が近くにいた少年の首にナイフをあてがったが、少年はそれを意にも介さず肉を食べ続けている。
しかも、大食いの神楽といい勝負…いや、下手をすればそれ以上の皿がそこかしこに積み上げられていた。
苛つきが頂点に達したらしい強盗が彼の身体にナイフを突き立てようとする。
だが、その瞬間。


「……え…?」


男の身体が、吹き飛んだ。





「…うるさいな、」


ゆらり、人質となっていたはずの少年が立ち上がった。
その手には、黒の番傘が握られていた。
顔を上げたことで、彼の白い、いや、透き通るほどに白い、青白いほどの肌が露になる。
黒と白のアンバランスなコントラストが美しく、思わず目を引き付けられる美少年であった。
だが、たった今強盗を一撃で吹き飛ばしたのはまさに彼なのだ。


「…あの肌…あの番傘…」


神楽がぼそりと呟く。
だが喧騒の中ではその声は易に掻き消されてしまう。


「…まったく、せっかく地球に来たっていうのに、太陽は眩しいし、ご飯は美味しいと思ったら五月蝿いのが湧くし…」

「僕の食事の邪魔すると、咬み殺すよ」





冷えた声、凍った空気。
その場に不釣合いな、美しい微笑がそこにあった。

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