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ここはボンゴレ本部。
その奥の奥にある、ボンゴレボスの執務室。
その中で、いつものように書類に埋もれていた現ボンゴレボス、沢田綱吉は今日も今日とて家庭教師のリボーンに愚痴を溢していた。
その右手には万年筆、左手には彼の愛しの人物、守護者最強の名を冠した孤高の浮雲こと雲雀恭弥のブロマイド(ヒバードとロールに微笑みかけるレア写真)が握られていた。


「リボーン…」
「なんだ、ダメツナ」
「ヒバリさんが捕まらないぃ〜…」
「いつものことだろ、諦めろ」
「でもでも!骸はこないだ、ヒバリさんと食事に行ったんだろ!?」
「ええ、彼のオススメの店に連れていってもらいました」
「ちくしょー!!なんでいつも骸ばっかり!羨ましい…俺もヒバリさんと食事に行きたいよー!!」


ツナこと沢田綱吉は、中学時代から雲雀のことが好きだった。
ダメツナと呼ばれ、いつも通常より下にしかいたことのないツナにとって、常に人の上に立ち誰にも媚びず誰にも靡かない彼の生き様は酷く美しいものに写った。
だが、決して他人を必要としないその立ち姿は、強さを感じさせると同時にどこか危うげで…気付かぬうちに掻き消えてしまいそうな儚さをも含んでいた。
あまりにアンバランスで、それでも、コインの裏表のような一体感のあるその二面性に、
咬み殺すといいながらも、群れる人間は嫌いだと何度も拒絶しながらも、それでも、ピンチになると必ず助けてくれるその不器用な優しさに、
仕方ない子だね、と笑う彼独特の微笑みに、ツナはいつの間にか魅入られてしまっていた。
「俺、ヒバリさんが好きなんだ…」その思いを自覚した後のツナの行動は、ダメツナとは思えないほど大胆で、あのリボーンやアプローチされた雲雀本人でさえ驚くものだった。

「ヒバリさん!おはようございます!」
「…君、なんでいるの」
「え…早く来ちゃいけませんか?」
「そうじゃない。今、七時なんだけど?まだ誰も来てないよ」
「じゃあ、二人っきりですね!」
「は…?」

こんな感じに、ツナは毎朝七時には登校し、咬み殺されようが何しようが、ひたすら雲雀に挨拶し、拙いながらも風紀の仕事の手伝いを申し出た。
これには、かの最強のヒットマン、晴れのアルコバレーノたるリボーンも開いた口が塞がらなかったらしい。
遅刻魔の筆頭として名を挙げていたツナは、この日を境に無遅刻生となった。
愛の力とは、素晴らしい。
その日を境に、リボーンはビアンキを今まで以上に尊敬したそうだ。

こんな感じに、ツナから雲雀へのアプローチは始まり、それは十年間続いたのだった。

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