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どうしてこうなってしまったのだろう。
日もドップリと暮れた、暗い冬の夜。降りしきる雨の中で、ふらふらと歩きながら、そうぼんやりと思考した。

始まりは一人の転校生だった。
季節外れな時期にやってきた、榊原美希という名の女子生徒。とても可愛らしい容姿と愛嬌のある性格で、彼女はクラスにもすんなりと馴染んでいった。

美希が本性を表したのは、彼女がやってきて数ヶ月後のことだった。





「ツナくん、私と付き合って?」

美希はボンゴレが欲しかった。
綱吉の守護者達が欲しかった。

けれど、綱吉の超直感は、それを見抜いていた。
そんな理由の少女に自分達の仲間を好き勝手させるものか。
マフィアになるなんて冗談じゃないと思っていても、その想いだけはとても強くて、綱吉はその告白を断った。

次の日のことだった。守ろうとした仲間に、突き放されたのは。
美希が何か言ったのだろう。おそらく、自分に女性の尊厳を踏み躙られた、というような内容を。それを信じた彼らは、綱吉を悪者と見なした。

…信じられなかった。
彼らは騙されているだけ。だから、真実に気付いて欲しくて、もう一度元に戻りたくて…声の限り叫んだけれど、そのたびに切り捨てられた。
どれだけ綱吉が叫んでも、泣いても、縋っても、現状は変わらなかった。
暴力だって振るわれた。
そして今日、ついに家から追い出された。

真冬の、それもどしゃぶりの雨の中に、である。
冷え切った身体はとうに寒暖の感覚もなく、歩いているのか立ち止まっているのかもわからない。
虚ろな瞳は、何の光も映さない。
最早、限界だった。

派手な音を立てて、水たまりの中に倒れこむ。
…俺、ここで、死ぬのかな。
霞がかった思考の先で、そう、思った。
それでもいい。こんな辛い状況から抜け出せるなら、もう、死んでも…。

瞼を閉じた。




「…君、死ぬの?」




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