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「す、ごい…」
「十代目…?」
「凄い、雲雀さんも…赤司さんも…あんな動きが出来るなんて…」
綱吉は、素直に感嘆の声を漏らす。
自分では出来ない動きに、心底感動していた。
そしてそれと同時に、いくらバスケでとはいえ、あの最強の人を負かした赤司にも見惚れていた。
バスケの天才なのだと聞いた。天才集団を纏め上げているキャプテンであるとも。
それでも、雲雀が負けるとは思っていなかった。

綱吉をきっかけに、体育館中から口々に賞賛の声が溢れた。
憧れのプレイヤーの動きが見れて、興奮は最大限だった。
皆、眼前で行われたハイレベルのプレイに沸き立っていたが、その声をバックに新たに入ってきた面々は状況がつかめずにポカンとしていた。


「……あのー…赤司っち?」
「赤ちーん、来たよー」
「お邪魔します」
「お邪魔するのだよ」
「なんだぁ?この騒ぎは」

「ああ、お前達、やっと来たな」


黄色、水色、水色、緑色、青色。
実にカラフルな面々が、そこにいた。
ポカンとするカラフルズを振り返って、赤司は満足気に笑う。
ちなみに、二人は周りの喧しさなどどこ吹く風。先ほどのような真面目なものではないが、それでも十分ハイレベルな1on1を繰り広げている。
バスケ部が冷や汗を流すような、雲雀の危険なプレーも気にしていない。
いきなり現れたカラフルな五人を視界に認識し、雲雀はプレーを中断して、流れた汗を手で拭って赤司に問いかける。


「知り合いかい?」
「ああ、キセキの世代のメンバーさ。前に話したろ?」
「ふぅん…なるほど、彼らが、ね」


キセキ達が赤司の元へ駆け寄ったことでまた騒ぎが大きくなったのだが、またしても完無視で話を続ける。
他愛のない話をしてから、黒子が、さきほどから気になっていたことを、全員を代弁して問いかけた。


「…赤司くん」
「なんだ?黒子、」
「その…彼は誰ですか?」
そう言って、雲雀の方を見つめる。
その視線を受け止めても、雲雀は我関せずとばかりに無言を保っていた。
「彼かい?彼は…」
その質問に答えようとして、だけど途中で止まる。
何と表現すればよいかわからなかった。
友?違う、そんな小さいものじゃない。
仲間?まさか、自分達は馴れ合う間柄ではない。
知り合い?…そこまで浅くはない。
雲雀も同様のことを思っていたようで、二人はしばらくは顔を見合わせていたが、少しして思いついた、というような表情で


「彼は…得意分野以外では、絶対に勝ても負けもしない存在、だろうな」


バスケでは勝てる。これは絶対。
けれど他は勝てない。負けもしないけれど。
勉学面もそうだし、将棋やチェスをしたって通算はずっと引き分けのままだ。
そして逆に、物理的な喧嘩をすれば、絶対に勝てない。
なんて忌々しい…なんて楽しい相手だろうか。
キセキ達は、わけがわからない、というような表情をする。
それでいい。
これは、自分達だけが理解していればいいのだ。
そんなことを考えて、二人、悪戯っ子のように笑った。




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