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太陽が高く昇った昼休み。今日の並盛中はいつにも増して騒がしかった。
ざわざわ、と廊下には黄色い声が木霊している。
その原因は、他校の制服にも関わらず廊下を堂々と闊歩する赤い髪、赤とオレンジのオッドアイを持つ端整な顔立ちの少年だった。
そのどこか異様な雰囲気に皆、知らずに道を明けてしまう。
だが、その騒ぎはさらに大きくなることになる。
彼の進行方向から、この学校の支配者。
恐怖の風紀委員長こと雲雀恭弥が歩いてきたのである。
明らかな侵入者の彼には、風紀委員長の容赦ない鉄槌が下されるだろう、と周りの野次馬達が胸中で合掌した。のだが…


「恭、久しぶりだな」
「…征?何でここにいるの」
「今日は午前中まででね、けど体育館の整備で部活は休みだったんだ。暇だから会いにきた」


周りの生徒が文字通り固まる。
有り得ない。そんな心の声が聞こえてきそうだ。
赤い髪の男と風紀委員長は、まるで友達のように親しげに会話を交わしているではないか。
(決して、え?委員長友達いたの?とか言ってはいけない。)


「ふぅん…別にいいけど」
いいんですか!?委員長!!?
「はは、そう不機嫌そうな顔をするなよ、手伝うから」
委員長の頭を小突いた!?死亡フラグ!!
「…これ持って、」
あれ!?委員長、お咎め無しですか!?
「ああ…風紀の取り締まりか、相変わらず多忙だな」
「そっちこそ、主将に生徒会長…十分忙しいだろう」
主将で生徒会長なの、あの人!
「町一つ支配してるお前ほどじゃないさ、こっちは学校一つだからな」
「優等生の仮面被ってるせいで色々使われてるんだってね、いい気味だ」
「楽なんだ、色々とな…雑務は適当に逃げてる」


そんな会話を交わしながら、並んで廊下を歩いていく。
そのツチノコより珍しい光景に、ほとんどの生徒が教室から顔を出して二人を眺めていた。
ちらほらと聞こえる会話に対するツッコミは、上記の通りだ。
それでも、二人は周りをまったく気にすることなく会話を続けていく。


「…そうだ、恭」
たった今思いついたかのように、征、と呼ばれていた少年は口を開く。
「なに?」
「せっかくなんだ、将棋でもしないか?」
歩きながらの、将棋。
意味のわからないその台詞に大半は口を傾げたが、将棋を嗜んでいる少数の生徒は目を輝かせた。
この状況での将棋など、ただ一つ。
目隠し将棋、つまり脳内対局だ。
「ああ、いいね…やろうか」
それにあっさりと承諾したことで、二人の対局が始まった。
「7六歩」
赤色の少年が言う。
「8四歩」
それに雲雀が答えて、対局が始まった。
「6八銀」
「3四歩」
「6六歩」
「6二銀」





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