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「…ふふ、」
「…何一人で笑ってるの、気持ち悪い」
「ひどっ!いいじゃないですか、幸せに浸っていたって!」


雲雀の家…というか、マンションで、綱吉はソファーに顔を座って、クッションに顔を埋めていた。
背中まで伸ばしたふわふわの茶髪は、先日のデートにて雲雀に買ってもらったピンクと黒のシュシュで纏められている。
対する雲雀は、両手にマグカップを持ち、キッチンから出てきたところだった。
オレンジの方を綱吉に渡し、その隣に腰を落ち着ける。
こてん、と自分の方にもたれてきた綱吉の頭を二、三度撫でて、コーヒーを啜る。
死んで、再会して、早半年。所謂お付き合いというものをしてからは、大体三ヶ月だ。
その間に色々あったな、と、二人はどちらからともなく笑った。


再会した後、それはもう盛大に、綱吉は泣いた。
何もかもを放り出して、雲雀に抱きついて、泣いた。
雲雀も一瞬驚いたが、彼なりに思うところがあったのか、無理矢理引き剥がすようなことはせず、綱吉の気が済むまで好きにさせてやっていた。
正気に戻った綱吉が、それはもう真っ青な顔で謝り倒してきたが、それすら五月蝿い、と一蹴にするくらいである。ただし物理的に。
丸くなったのか変わらないのか、とにもかくも、これが二人の再会の一部始終だ。


それから何やかんやで両想いに至り…というより、前世からの両片思いを叶え、今のような彼氏彼女の関係に落ち着いている。
てっきり嫌われているとばかり思い込んでいた綱吉はたいそう驚いたのだが、実はボンゴレ抜きにしたなら以前もそれなりに気に入られていたのだと知ってまた驚いた。
恋になりきれない恋心を抱いてもらっていたのだと知って、再会して、今度はそれが確かな恋になったのだと面と向かって言われて…綱吉は泣きたくなった。
こんなに幸せで、いいのだろうかと。
再会してから三ヶ月ほど経った頃の話だ。
だが、その後の方が怒涛の忙しさであったことは明記しておこう。
交際を始めてから初の難関。
――綱吉の言葉遣い、ひいては日常の動作である。
前世は男装という事情があったから仕方なかった。そこは譲歩しよう。
だが、今世は普通に女として生きているのに、そのがさつさはなんだ、という雲雀の駄目だしにより、綱吉女らしさ会得計画が始まったのだった。




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