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それだけ言うと、私は立ち上がった。
鞄の中から、彼から貰っていた合鍵を取り出し、机に置く。

ねぇ、土方さん。
貴方が私を愛してるのは知ってるわ。
あの浮気が、ただの出来心だってことも、彼女なんか愛していないことも。
でもね、許せないの。
さっきも言ったと思うけど、貴方に浮気をさせてしまったのは、私の落ち度よ。
私には、貴方を繋ぎ止めておくだけの魅力が足りなかった。
そんな自分が、許せないの。

本当に愛してるから、貴方の浮気を許さない。
これが、私の愛なの。
恋愛にプライドを持ってきたら、本気なのよ、私。
土方さん、私、貴方のこと本当に愛してるのよ、本当よ。
だからね、さよなら。



「これは、返すわ。今までありがとう、楽しかった…」
「玲…」
「……あのね、土方さん。私、どうでもいい人なら、浮気、許してたわ」
「……?」
「どうでもよかったら、浮気されたって傷つかないもの。でもね、貴方は愛してる。だから、許さない」
「そうか…俺は、お前に愛されてんだな」
「ええ、愛してるわ」
「俺も…愛してる」



たった今別れを告げた恋人同士だとは思えない会話。
いつものように軽くキスを交わして、微笑んだ。
玄関の扉を開けて、振り返らずに、別れを告げる。


「…さよなら」




     さ

   過 よ

   去 な

   に ら

   溺 愛

   れ し

   て た

   泣 人

   い よ

   て

   く

   れ



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