はてさて、一体誰が悪かったのか。
既に日も暮れた住宅街。
暗闇の中、血に塗れた少女は独り哂う。
「愛されたい愛されたい愛されたい愛されたいアイサレタイ!!!!」
どうして自分は愛されないの。
頑張ったのよ?あたしだって頑張ったの。
愛されようと頑張ったの。
お料理だって努力して、母さんが帰ってくるころには美味しそうな料理を並べたわ。
たとえ母さんがほとんど帰って来なくたって、いつもいつも毎日毎日二人分作ったの。
料理を捨てられたって、男を連れ込んで真冬に外に放り出されたって我慢したわ。
汚い身体じゃ仲間外れにされちゃうから、毎日お風呂に入って丁寧に身体を洗ったわ。
お金が払えなくて水道を止められた時にはお外で洗ったの。
それがばれたら川でだって洗ったわ。
どうしようもない時は母さんの香水を使って誤魔化したの。
頭も普通だったし、学校に行ったって虐められただけ。
それでも頑張ったの。
母さんはいつだってお化粧をして外に出て行ったから、そうしたら色んな男の人が母さんの傍にはいたから、それを真似して頑張ったの。
最初は上手くいかなかった。
でもね、何回も繰り返すと上手く出来るようになったのよ。
ぱっちりとしたマスカラに、きらきら光るアイシャドー。可愛いピンクのチークに真っ赤なルージュ。くるくると巻いた髪は貯めたお金でピンク色に。
ほらほら見て見て、あたし可愛いでしょ?
どうして駄目なの?
どうしてそんな顔するの?
どうして愛してくれないの?
母さんの真似をしたのよ、頑張って可愛くしたのよ?
なのに、、どうして?
「愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して!!!」
ああ、いいこと思いついたわ。
そうよ、やり直しましょう。
生まれなおすの、今度は貧乏じゃないところに。
お金持ちの子供に生まれるの。
母さんみたいに、愛人さんじゃないところに。
そうしたら、愛してくれるよね?
ごめんなさい、見知らぬ人。
あたしのために死んで下さい。
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