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皆さんは、犬や猫を飼っているだろうか。愛玩動物と言われるそれらは非常に可愛く、私達の心を大いに和ませてくれるだろう。
だがしかし。私はつい先日、それら既出の愛玩動物を遙かに凌ぐ、愛くるしい生き物を拾ってしまったのだった。


「玲、」
「はいはい、どうしたの?」
「おなかすいた」
「はーい、ちょっと待ってね」


これだ。
この可愛くてちょっと生意気ででもやっぱり可愛くてとりあえず私には懐いてきてくれているらしい可愛い生き物が、先日うちの家族となった。
名前は「ヒバリ」という。
雲雀の鳥がいたくお気に召していたらしいので、その名前をあげた。本名はあることにはあるらしいが、長すぎてよくわからない。というより、人間の言葉ではないので聞き取れない。

…そう、彼は犬や猫、まして人間ですらない。



「はい、こんだけ人がいれば"嫉妬"の感情もわんさか出てくるでしょ」
「…ん」



彼は、悪魔、だった。







よくはわからないが、彼は地獄でかなり有力な椅子に座ることを約束された悪魔であるらしい。
とはいえ、生まれたても同然である時期にうっかりよくわからないトラップに引っ掛かってしまい、大半の能力も奪われた挙句、この人間界に叩き落されてしまったらしい。
そこを、偶然通りかかった私が捨て子だと勘違いして拾ってしまったというわけだ。
そして色々あって、現在に至る。完全に里親状態だ。
しかし、ヒバリは可愛い。本当に可愛い。
見た目は10歳くらいの男の子なのだが、後ろに小さな…しかしその身体にしては大きめの羽をつけてふよふよと私の後を付いてくる。
そのあまりの愛くるしさに、時々思いっきり抱きしめてしまうほどだ。
ああ、本当に、可愛らしいったらありゃしない。


「…玲」
「んー?なーに、ヒバリ」
「……すきだよ」
「きゃー!!もう、本当に可愛いー!!うんうん、お姉さんも大好きだよー!!」
「…ずっと、いっしょにいてくれる?」
「いるいる!あーもううちの子可愛いわぁ…」



小さなヒバリに夢中になっていた私は気付かなかった。否、完全に忘れていた。
彼は、ヒバリは悪魔で、しかも能力を封じられた状態にある…つまり、見た目と中身が一致していないことに。


突然消えたヒバリを大慌てで探し回るまで、あと一週間。


力を取り戻し、大きくなったヒバリが私の元に戻ってくるまで、あと一ヶ月…。



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