short | ナノ
ふと思ったままを口に出してみる。
さっきも、先輩は私を無意識に獲物にしようとしてたみたいだし…そう思って、言ってみた。
すると、先輩はまた気まずそうにして、歯切れ悪く小さな声で話し始めた。

「…間違って、ないよ。その…本当に栄養原になるんだ」
「へ…?」
「好きな相手の…体液、は」
「えっ、と…つまり…?」
「っ、つまり!唾液とか血とか愛液とか、そういうもので生きてけるってこと!」

開き直ったのか、大きな声でそう叫ぶ総司先輩。
意味を理解すると、じわじわと恥ずかしさが込み上げてきた。
つまり…今までのキスで先輩が飲み込んだりしてた唾液や、怪我した時に舐められた血や、行為の時に舐められた愛液は…先輩の餌、だった?
は、恥ずかしすぎる…!//

「っ〜…//」
「勝手に食べて、悪かったとは思ってるよ。でも…仕方ないじゃない、あんまり美味しそうで…」
「え!?ま、まさか口に出てました…!?//」
「全部出てたよ」
「……ごめんなさい」
「別にいいよ。悪いのは、黙ってた僕の方だし」

そう言って苦笑する先輩の唇から、尖った犬歯が零れた。
それを見て、思わず、あ、と声を漏らしてしまう。
それに気付くと、先輩は、あぁ…コレ?と言って、口を開けて牙ともいえる犬歯を見せてくれる。
「これって…」
「牙、だよ。一応毒があるんだ」
「毒…ですか?」
「うん、まぁ死ぬような毒じゃないけどね。身体の神経を麻痺させて、動けなくするんだよ」
「へぇ…本当に蜘蛛みたい」
「蜘蛛だもん。というか、こんな毒使ったことないよ」

なんなら、咬んで試してみようか?
そう言って、いつも通りに笑う先輩に、丁重にお断りを申し上げて、私も笑った。





(そういえば、なんで入学式の日泣いてたんですか?)
(え?見てたの?)
(まぁ…それ見て好きになったので…)
(…君に、一目惚れして…でも、僕は人間じゃないから…って、考えてて…)
(……先輩の方が可愛い)
(…、うるさいよ…//)



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