short | ナノ
ご飯を食べて、お互いお風呂に入って…ベッドに横になる。
総司先輩が、私の上に跨って、じっと声を出さずに見つめた。
いい…?と言外に尋ねるその眼差しに答えるように、私はいつも通りそっと目を閉じた。
先輩は安堵したようにため息を漏らすと、私をぎゅっと抱きしめる。
温かいその温もりに安心して…私も、その背中へと腕を回す。
抱きしめる腕はそのままに、先輩の唇が私のそれを塞いで、呼吸を奪われるような激しい口付けが始まる。
その絶妙な舌使いに必死に応えようと拙く自分の舌も動かして、彼のくれる甘いキスに酔いしれる。

次第に身体の力が抜けて、総司先輩のシャツに縋るのが精一杯の状態になってしまう。
その腕すらもずるりと垂れてベッドに沈んでしまった、その時。
初めて、私は違和感に気付いた。
身体中に糸のようなものが緩く、でも逃げられないように絡み付いている。

(何、これ…糸?)

霞んでいく思考を必死に手繰り寄せて考える。
コレ、は…一体、何…?
まるで…蜘蛛の糸のよう、先輩が抱きしめる力を強めるたびに、この糸のようなものも絡み付いてくる。
そう、まるで先輩と繋がってくるかのように…。
そこまで考えて、不意に怖くなった。
ようやく離された唇で必死に酸素を取り込んで、先輩に尋ねる。

「せん、ぱ…コレ、なに…?」
「コレ、って?」
「その…この、糸みたいなやつ…なに?」
「糸みたいな…?……っ、!?」

最初こそ訝しげにしていた先輩だったが、その糸を見つけると一瞬にして表情が変わった。
驚いたような、怯えたような…そんな顔だった。
その表情に、一気に不安になってしまう。

「せんぱ、い…?」
「あ…玲ちゃ、ごめ…」
「え…?」
「ごめん…っ、やっぱり、こんなとこ連れてくるんじゃなかった…こんな、こんな"巣"に連れてきちゃ…コントロール効かなくなるの、わかってたのに…!」
「待っ…先輩、落ち着いて!?」



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