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《sideリボーン》

「それでね、リボーン。今日きた留学生の子達と仲良くなれたのよ」
「それはよかったな」
学校帰りにツナの家にやってきたマリアが、今日来たらしい留学生の話を楽しげにする。
さすがマリアだ、色んな人間に好かれるのはマリアの人徳が現れている証拠だ。
「クソッ、レッドグレイヴの奴…!」
「隼人…そんなこと言っちゃ駄目よ」
「けど、十代目…!あのトニー・レッドグレイヴって奴は!」
「落ち着け、獄寺…で、マリア。どんな奴らなんだ」
「んと、トニー君とギルバ君とネロ君って言うの。トニー君とギルバ君は双子なんだって、でも見た目以外正反対ですっごく面白いのよ」
そう言って楽しそうにマリアは話す。だが、俺には一つ引っ掛かった。
「マリア…トニー・レッドグレイヴって言ったか?」
「え?ええ、そうよ、トニー・レッドグレイヴ君。こんな子なの」
そう言って、マリアは携帯を開く。中には、三人の銀髪の男が写っていた。
ニッと不敵な笑みを浮かべている男を指差している。
「かっこいい子でしょ」
そう言って笑うマリアに曖昧な返事を返す。彼の名前が、なぜか聞き覚えがあったのだ。


その日の夜。仕事で俺は裏の奴らが集う酒場に足を運んでいた。
今回の相棒だった男と肩を並べて飲んでいたが、不意に夕方のことを思い出し、なんとなしに聞いてみた。
「おい、お前…トニー・レッドグレイヴ、って名前に聞き覚えはねえか?」
「あん?トニーだって?…それは、あのトニーか?」
「あの…?有名なのか?」
「ああ、俺達くらいの歳の裏家業なら、誰でも知ってるぜ」
「……詳しく聞かせてくれ」
どういうことだ?アイツは、裏の人間?
「別にいいが……トニー・レッドグレイヴってのは、二十年くらい前に有名になった若い便利屋の名前さ」
「二十年前…」
「笑うと餓鬼みてえな顔しやがるくせに、とにかく強えのなんのって。赤いコートを羽織って、二丁拳銃と背負った大剣で弾丸雨の中だろうが口笛吹きながら駆け抜けちまうようなクレイジーな野郎さ」
そう言って豪快に笑い、目の前の酒を一気に煽る。
「そうそう、今じゃ仕事を選り好みする便利屋なんか大勢いるだろ?実はな、その先駆けがトニーなんだよ。アイツは自分が気に入った仕事じゃなきゃ100$札を天井まで積まれたって引き受けねえ。その代わり、奴の条件に当てはまりさえすればタダみてぇな金でも快く引き受けちまう。なるべく殺しはしない主義だ、なんて言ってて、始めのころは笑われてたもんだが、瞬く間に稼ぎ頭になっちまったらしくてよぉ…全く、とんでもねぇ餓鬼だったぜ」
そう語る男の目は、どこか懐かしげだ。
「お前は、そのトニーに会ったことがあるのか?」
「ああ、アイツはボビーの穴蔵ってとこに出入りしてたんだが…俺も一時そこにいてな、何度か会話したぜ。殴り合いも飲み比べもしたがぼろ負けさ。アイツの標的になったやつには同情すらするね、きっと悪魔の軍勢置いたってトニーにゃ敵わないだろうからなぁ!そのせいで、裏じゃこう言われてたぜ。「二丁拳銃と馬鹿でかい大剣持った赤いコートの銀髪を見たら、迷わず逃げろ」ってなぁ…!最も、逃げれた奴がいたかは怪しいもんだぜ!」
「な、に…?赤いコートの銀髪だと?」
確か、マリアの写真の写ってた《トニー・レッドグレイヴ》は、銀髪で赤いコートの…
「おい、ちょっと待っててくれ…」
「あん?」
怪訝そうにする男を横目に、俺はマリアにメールをする。ほどなくして、携帯には件の男の写真が送られてきた。
それを隣の男に見せ、
「おい、そのトニーって、まさかこいつか…?」
「ああ、こいつだ!この不敵な笑い方は間違いなくトニーだぜ」
どういうことだ?
トニー・レッドグレイヴ…マリアのクラスの留学生、そして、二十年前の便利屋。
同一人物…そんなわけがない。
人間が若返るなんて、そんなことはありえないのだから。

「…トニー・レッドグレイヴ。そして、双子の兄のギルバ・レッドグレイヴ。親戚らしいネロ・アンジェロ…警戒が必要だな」
逃げろと叫ぶ、そんな本能を無視して。
俺は地獄への片道切符を手にしてしまった。



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