ネタ帳 | ナノ
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《side綱吉》

「いやっほうアルトー、元気してるかー」
どーんという豪快な音を立てて応接室のドアが崩壊した。
だけど気にしない、なぜなら日常茶飯事だから。
「やあ綱吉。元気元気超元気だよアレさえなければね…」
そう言ってソファにぐったりとつっぷすアルエット。表向きの名は、雲雀恭弥。
なぜ純日本人なのに名前がフランス語なのかと聞いたら、拾われた場所がフランスだったので彼を拾った人がフランス人だと思ったかららしい。
本人も、本当の家が彼を引き取りに来るまで自分の国籍すらわかってなかったのだと言っていた。
戸籍上の名前は雲雀恭弥だ。でも、彼はそれを偽名だと言う。あくまでも、本名はアルエットの方だと。その辺りの理由は彼の出生と過去に関わることだから今はノータッチにするとして…
今は、俺の愚痴を聞いて欲しかった。
アレさえなければ、とアルトが指差した書類の山の半分を受け取りながら俺はマシンガンの如く口を開く。

「聞いてくれよ!今日ももうしつこいのなんのって!」
「毎日毎日大変だね、ホント」
「朝からリボーンが早く起きてマリアを迎えにいけとか言うし無視して登校すれば忠犬が何で十代目を迎えにこなかったんだテメエそれでも十代目の守護者かとか抜かすし昼休みにあのクソ女に一緒に食べようとか言われて断れば野球馬鹿が無理矢理連れてくし放課後になればボクシング馬鹿の単細胞がマリアを守るため共に特訓しようではないかとかわけわからんこと言ってくるし……いい加減にしろ!いつ俺が大空の守護者になるっつった!!誰がマフィアになんかなるか――!!」
思いのままにシャウトする。
「マジふざけんな、人の人生なんだと思ってんだよこんちくしょう。本気で守護者やらせたいんなら、土下座する勢いで頼み込むのが普通だろうが。ボンゴレだかなんだか知らねーが、誠意ってもん知ってんのかよ!」
そう叫ぶと、ぐったりしていたアルトがふいに顔を上げた。
「…相変わらず、悪魔みたいな連中だね」
「本当だよ、ったく…まじアルト癒し。悪魔みたいな生粋の人間と人間臭いクオーター悪魔って…笑えねー」
クオーター悪魔。それは、俺だけが知ってるアルトの秘密。
アルエットの祖母は、悪魔だったらしい。
祖父は、名門雲雀家の次期当主という地位より彼女との愛を選び、家を捨てて逃げたのだという。そして子供が産まれ、その子供も結婚し…アルエットが生まれた。
だが、そんな幸せも長くは続かず…一家は崩壊した。
父親同様、祖母の《スペースディヴァイション(空間分断)》という空間を操る、次元を分断するという能力を引き継いだアルトの力を狙った悪魔に襲撃され…後にアルトを引き取ることになったデビルハンターが駆けつけた時には、アルト以外の姿は見あたらなかったらしい。
「本当に幼い頃の事だから、ほとんど記憶にはないんだけどね」そう言って哀しそうに笑ったアルトの顔は、きっと一生忘れられないだろう。



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