ネタ帳 | ナノ
  人形少女 //

拝啓、神様へ

   私は貴方を恨みます…



「ぐぁ…っ」
「て、てめぇ…何のつもりだ…」

「その台詞、そっくりそのままお返しするよ…」


私の目の前で繰り広げられている、見るも無惨な惨劇。
鉄パイプを持った十数人の不良達が、一人の男を取り囲んでいる。
これだけ見れば、きっと不良が彼をリンチしているように見えるだろう。
だが、実際は違う。
違うどころか、真逆だ。

彼が、不良達を叩きのめしているのだから。



琥珀の髪に返り血を浴びて笑うその男は、手に持っていた竹刀で残った不良を簡単に地に沈めた。
新たな鮮血が、宙に舞う。
それを満足そうに眺めた後、綺麗な翡翠の瞳をこちらに向けて、ゆっくりと歩み寄ってきた。

びくり。
思わず肩を揺らしてしまう。

それを見て、彼は愛しそうに目を細めた。
一つの芸術作品のように整った顔を近付けて…そっと優しく抱きしめる。

怖い、はずなのに
その腕の中は酷く落ち着いた。



「もう大丈夫だよ。……震えてるね、血が怖いの?可愛いな…」

もう意識すらない不良達に、私は声に出さず語りかける。
彼らを沈めた男の腕の中で。
謝罪と、感謝を。
だって…

彼らは、私の落とし物を拾ってくれただけなのだから。
そのあと、転入生かと聞かれただけなのだから。

それでも、彼は許さない。
いつだって、彼は私を束縛したがる。

これが、私と彼の、日常
変わることのない、非日常



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